2008年08月26日

旅立ちの時に。。。

50代女性・脳出血での搬送でした。
ホットラインから入る情報だけで、その重篤さが伝わってきます。
恐らく発症し倒れてから発見されるまでに時間が有ったのでしょう。
すでに脳へのダメージも大きく、「発見さえ早ければ」と
悔やまれてしまいました。

これはチョッと難しいかも・・・
そんな空気が流れながらも、救急隊から引継ぎを受けます。
処置室へ移し懸命の処置を施してもバイタルは改善する事無く
最期の時を付き添われた御家族とのお別れの時間に
費やして頂くだけになってしまいました。

救急車で付き添われた20代のお嬢さんにその旨を御説明し
残された時間の中で、会わせたい御家族などに駆けつけて頂くよう
連絡される事をお勧めしたのですが。。。

気が動転されていらっしゃるお嬢さんは事態を受け止められず
自分の知らないうちに行かせて欲しいと泣き崩れました。

患者さんの御主人や身内の方への連絡をお願いしても
現実逃避されてしまった状態から脱却できず
大声で泣き続けるばかりです。


私より大柄なお嬢さんを抱きかかえながら

最期の旅立ちの時には、そばにいて見送ってあげて下さい。
「見ているのが辛いから」とか「私のいない所でいかせてあげて」なんて
言って欲しくないのですよ。

あなたがそばにいてくれるだけで、お母さんはどんなに辛い事でも
安らかに受け入れられるはずですから。

お母さんがあなたを愛していることを忘れないためにも
今の時間を大事にしてください。
あなた以外にもお母さんに会われたいと思う方がいれば
私が代わりに電話しますから、連絡先を教えてください。。。

そうお話しているうちに、徐々にでしたがお嬢さんも落ち着かれ
御主人の勤務先や息子さん(弟さん)の
携帯電話を教えて下さいました。


突然のお別れ。。。
朝方いつものように出勤された御主人が元気な奥様のお顔を見たのは
そのときが最後になってしまったようでした。

息子さんがバイト先から駆けつけた時にはまだあった反応も
御主人が来られるころには薄れてしまい・・・。

それでも御家族に見守られての旅立ちでした。

家族が傍にいるのにお一人で旅立たれるなんて・・・
そんな事にならなかっただけでも
唯一の救いだったのかも知れません。

人はパニックに陥ると、その場から逃げたい衝動から
無意識に現実逃避をする事があります。
このお嬢さんもそうだったのでしょう。。。

ただあのままお母さんを一人で行かせてしまうのでは
お母さんもその辛さ・悔いを残してしまうでしょう。

私の電話で駆けつけてくださった御家族は
やはりこの患者さんの家族愛に包まれていたのでしょう。

旅立ちの時は誰しもにいずれ訪れます。
その時に一人で行く事ほど辛い事も無いでしょう。
だからこそ、見送る側の者は逃げてはいけない。
チャンと見送ってあげる事が、愛情をお返しする術に感じます。

私もいずれ旅立つのですから。。。。











at 19:38│Comments(6)TrackBack(0)素敵な出会い 

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この記事へのコメント

6. Posted by なすび   2008年09月02日 11:14
徒然さん、こんにちわ。
いざ身内の身に何か有ると、どうしても気が動転してしまいますよね!
それが普通だと思います。
そう言うご家族の方をよく拝見しますから・・・。
ただ重体だとか緊急手術になると言った、展望の有るケースと違い
手の施しようの無い時は、私達もご家族の気持ちが
痛いほど感じますから、残された時間の中で出来る限り
患者さんやご家族の心のつながりの時間を
大切にしてもらおうと思って、接するよう心掛けています。
ですから時折声を荒げて、娘さんにシッカリしてもらう事もあります。
ただそれがこのご家族にとってのベストなのかは
いつも答えが出てきません。。。
心のケア、 それが一番難しい事でもあります。。。
5. Posted by 徒然   2008年08月29日 19:52
恥ずかしながら、彼女の気持ちが良く分かります。
私の中に「親の死」って想定していない事ですから。。。
親は何時までも元気で居てくれるって思ってしまっているところが有ります。
でも、冷静に考えると もしもの時には家族で見送りたいし、見送ってもらいたい。
なすびさんの様に言って下さる方が居なかったら、彼女は後から後悔したでしょうね。
だから、彼女に代わって「ありがとう」です^^
4. Posted by なすび   2008年08月29日 11:26
ニコニコおかみさん、こんにちわ。
仰るように、もしそのまま誰にも見守られずでは
患者さんご本人以上に、このお嬢さんも悔やまれたでしょうね。
愛されたから、愛したからこそ
その別れを見守って欲しいでしょう。
それが送る立場でも、送られる立場でも・・。
こう言う時に取り乱される方を説得するのは心苦しいけれど
後の事を思うと、やはり落ち着いて対処して頂きたいですからね。
3. Posted by なすび   2008年08月29日 11:18
ヨッコ先生、こんにちわ。
私なんてとんでもないですよ!
やはり看護の教育現場には、
ヨッコ先生のような人格者がいてもらわねばなりません。
私はもう少し研究者の立場から、後進のお役に立ちたいと思います。
2. Posted by ニコニコおかみ   2008年08月28日 17:07
ご家族に見守られての旅立ちで良かったです。
動転していたとは言え 誰も付添わず逝かせていたら 
このお壤さん 後でどんなに後悔した事か、
別れの悲しみの上にさらに一生後悔で
胸を痛めなければ為らない事に。
最後は愛する家族に見守られて逝きたいし、
また 見守って送って上げたいです。
1. Posted by ヨッコ   2008年08月27日 14:56
私も一人で行くのも行かれるのも嫌だな。
気が動転していたのでしょうけれど年齢からしてもう少し大人の対応して欲しかったかな。
なすびさんが落ち着かせなかったら、お父さんや息子さんも
何も知らぬ間にお母さんが旅立ってしまっていたでしょう。
こう言うときの救命看護師の仕事は処置以外にもメンタルケアも含めて本当に大変だと思いますよ。
うちの学生も一歩でもなすびさんに近づけるよう指導しなきゃね!
なすびさんは看護教育の現場へ来る気はないの?
キャリアと学歴が有り過ぎるから臨床離れるのも勿体無いかな!?
大学院まで出た研究者にお願いする事じゃないですね、ゴメンなさい。

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