2008年09月17日

励ましも届かず。。

小学4年生の男の子の転院搬送が有りました。
夏休みに自転車に乗っていて、自宅近くの路上でトラックと接触。
当初搬送された病院での処置のあとも意識のないまま
入院を続けていましたが、様態が急変してこちらへ移られました。

救命のHCUにて処置とケアを続け始めたのが
新学期が始まって間も無くの頃でした。

学校が始まると担任の先生や、同級生の父兄の方などのお見舞いも続き
何度か回復に向かいかけた事もあったのですが・・・。

事故当日一緒に遊ぶ約束をしていたと言うお子さんが
お母さんと一緒にお見舞いに受付まで来られましたが
お子様の面会には制限があって、結局お会いする事は出来ませんでした。

そんな事もあって、今週に入ってからは同級生の皆さんで折ったという
千羽鶴を持って担任の先生がお見舞いに来られ
意識の回復に役立つかもと、同級生の声を録音したCDを
耳元で流したりして、クラス皆さんで回復の応援をしていただきました。

そのCDを最初に流した時に、脳圧が安定値に戻ったんですよ!
その先生とお母さんと一緒になって、私も「お友達のお陰ですね」と
笑顔になれたのですが、それも一瞬の事でしか有りませんでした。



事故から一度も意識を取り戻す事無く、
同級生の皆に励まされるも面会も叶わず。。。

もう一度、お母さんに抱きしめられたかったでしょう。
お父さんとお話もしたかったでしょう。
新学期には学校へ行ってお友達と一緒に思いっきり遊びたかったでしょう。

そうさせて上げられなかった事許してね。


入院が長いとご家族ともお話しする機会が多くなり
ご両親のお気持ちも肌で感じられるようになります。
お父さん・お母さん、担任の先生やお友達の応援も毎日届き
私達スタッフも回復へのお手伝いを一緒に頑張ってきたけれど・・・

力不足でごめんなさい。


やはりお子さんを見送るのは、本当に辛いです。。。










at 14:51│Comments(8)TrackBack(0) 素敵な出会い 

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この記事へのコメント

8. Posted by なすび   2008年09月20日 10:47
ばあばさん、こんにちわ。
お子さん達にとって、お友達は何よりの宝であり良薬なのですよね。
それまで何をしても改善に至らず、状態の維持がやっとだった
患者さんの容態も、お友達の声を耳元で流した途端
モニターに変化があらわれ・・・
もしかしたら・・・と言う淡い期待を抱かせてくれました。
でもそれもつかの間、もしかしたらそれが患者さんから御両親への
最後のメッセージだったのかも知れませんね。
一瞬でしたが、御両親がホッとする明るい話題だったのですから。
その日だけ、御両親も「期待」を持てた事でしょう。
そうさせてくれたのは、わたしたちではなく
お友達だったのですから・・・。
無力を痛感する悲しいお見送りでした。。。
7. Posted by なすび   2008年09月20日 10:38
wiredさん、こんにちわ。
お子様を持つパパとして
同じような思いをさせないで差し上げたい。
その為にも医療・看護の進展を進めなくてはと
思うしかないのですが・・・。
やはり子供さんは元気でうるさいぐらいが良いのですよね。
病院にお子さんは似合いません。
まして救命に長く居てはいけません。。。
御両親の居た堪れないお気持を察すると
自分たちの無力が情けなくて仕方ありません。
6. Posted by なすび   2008年09月20日 10:33
ニコニコおかみさん、こんにちわ。
医療は万能ではありません。
どんな有名な医療者も神では有りません。
そんな当たり前の事は、看護の基本を学ぶ前に知っていたはず。。
でももし、もう少しだけ医療が発展していれば・・
そう思うしか出来ない無力感を味わうしかないのが辛いです。
CDから流れてくるお友達の声が賑やかなだけに
この子にもう一度、同じようにはしゃがせて上げたい。
そう思わずに居られない日々でした。。。
5. Posted by なすび   2008年09月20日 10:26
アキラさん、こんにちわ。
いつもこう言う患者さんに出会うと思うのですが
やはり小さなお子さんに、手の施しようがない事ほど
医療者として無力を感じる事はないです。
つらいです。
万能の力など有る筈もないのに
せめてその一助でも授けて欲しいと祈るしかないのが
情けないほどです。。。
お遍路旅、御無事での満了
お疲れ様でした。
次回は奥様と御一緒ですね!
4. Posted by Happyばあば   2008年09月19日 05:28
あまりにお気の毒でなかなかコメント書けませんでした。
トラックに接触なんて怖い目に遭っていながら、お父さんやお母さんの顔も見ないまま旅立たなくちゃいけないなんて・・・
心細かったでしょうね。
ご両親のお気持ちも察するにあまりあります。
孫が骨折で入院したとき、先生がお友達全員のお手紙を預かってきてくださったんですが、泣きながら読んでいました。
子どもにとってお友達は特別なんですね。
一瞬でも声が聞けて嬉しかったでしょうね。
なすびさんは毎日こういう限界の状況で患者さんのために精いっぱい尽くしてくださってるんですよね。
ありがとうございます。そしてお疲れ様。
3. Posted by wired   2008年09月19日 00:00
悲しいですね
もっと生きて友達や家族と思い出を作りたかっただろうに
残念です
ご両親もきっと
あの時、自転車を・・とか
一人で・・とか
悔やまれるのでしょうね
頑張ってほしいです
幼い命が失われるのは本当に辛いです
2. Posted by ニコニコおかみ   2008年09月18日 02:13
小学4年生!
我家の下の孫と同い年ですね?!
読ませて頂きながら 人事とは思えず
胸がつまり 涙してしまいました。
元気であった頃のやんちゃな声も聞かれなくなって・・・・!
ご両親のお気持を思うと堪りません。
でも なすびさんたちが精一杯の努力をして下さった事 
ご両親もそしてこの亡くなったお子様もよ?く分かってくれていると思いますよ。
感謝していると思います。
1. Posted by sinobueakira   2008年09月18日 01:59
四国八十八箇所お遍路旅から16日に帰ってきました。
久しぶりになすびちゃんのブログに目を通すと悲しい少年の記事に心が痛くなりましたが、クラスの仲間達のCDから流れてくる声をしっかり聞き取って一瞬笑顔が見えたのは仲間達の思いが通じたのでしょうね。
ご両親にとっては、子供を先に見送るなんてとても辛い事ですが、せめてもの慰めは彼の笑顔だったかも知れません・・・・合掌。
八十八箇所を廻っていると、何処のお寺にも水子地蔵があり、この世に生を受けずに逝ってしまった子供達が沢山いることを悲しく思っていました。
この世に生を受けて生まれた人たちは、世の為に大きく育ってもらいたいし、自分を大切に人に優しい、強い人間になってもらいたいですね。
お遍路旅で56番泰山寺の納経所にランディ君に似たワンコが二匹懐いてきましたので写真に納めました。
後日、写真をUPしますのでお楽しみにしていてくださいね。

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