2009年10月01日

お薬は応援団! トレッキング、諦めないで!

先日までICUで治療を受けられていた患者さんが
昼前にヒョッコリと私たちの所へお顔を見せて下さいました。

経過が安定していたので数日前に一般病棟へ転棟され
そちらで継続治療を受けられていた60代の患者さん。
一般病棟でも経過良好で、本日めでたく退院になりました!
その後挨拶にこちらへもお顔を見せてくださったそうです。


この患者さんが搬送されて来たのは
高速道路のSA駐車場からでした。

定年を機にそれまでの憧れだったと言う
黒部?槍ヶ岳と言った北アルプス(?)の高山を縦走。
その帰り道での体調不良。
同行したご友人に運転を変わってもらい
何とか帰宅途中のSA迄来た所で状態が悪化し
売店の店員さんを通じての救急要請でした。

同年代のご友人と二人での縦走だったそうで
持病も有る事から日程にもゆとりを持たれた
スケジュールだったそうですが
3000メートル級の高山を縦走された後
温泉で数日の湯治を兼ねて休またのがもしかしたら
逆効果になってしまったかも知れませんでした。。。

元々動脈硬化などを指摘されていたそうですが
退職前は気にも留めたことが無かったそうで
趣味のトレッキングも日帰りを中心に
良く出かけられていたそうです。

だから体力的にも自身があり
時間の出来たこの時期に念願の槍ヶ岳縦走を決行。


でも身体の中では徐々に動脈硬化なども進行し
血管内のプラークがこの山行と温泉の負荷で
ついに心筋で梗塞を起こしてしまったようです。

幸いSAがこちらへ向かう方向だったことや
バイパス高速が数年前に出来ていた事なども手伝って
搬送までの時間もそれほど掛からず事なきを得ました!

救急隊員さんが言うには、もうひとつ先のSA迄行っていたら
ICやJCTを過ぎちゃうのでこちらへ搬送できず
もっと搬送時間が掛かったかもしれないと・・・。


治療そのものは直ぐに安定されて安心したのですが
意識を回復されてからは、念願の山行が台無しになり
友人などに迷惑を掛けたと嘆かれる日々。。

本当は一番楽しみにしていた山でのご来光も
あいにくの曇天(ガス曇り)で見られなかったので
もう一度登る心算でいたのに
諦めるしかないかと肩を落とされ。。


確かに現状では今回のように何日も掛けての縦走や
高山から降りて直ぐに高温の温泉三昧では
心臓に負担もかかりますし難しいでしょう。。

でもこれから体力を回復され、ご自身にあった服薬などと
うまくお付き合いされていけば、そんなに遠くない日に
再度のチャレンジは可能でしょう。

どうしても見たかったと残念がられたご来光ですが
このブログへコメントを下さるtoshiyanさんが
快くご自身の山行でのご来光写真をお貸し頂けるとの事
早速拝借して患者さんの枕もとのモニターへ映し出し
その方もお薬とうまくお付き合いされながら
トレッキングを楽しまれてらっしゃることなどお話し
僅かの時間でしたが私と一緒にご来光を拝ませて頂きました。

その時は

 「いい写真だねぇ、こんな光景を見たいんだよな」

それだけ口にされただけでしたが、今日は

 「あの写真を見て、自分も薬とうまく付き合えば
   もう一度トレッキング出来るんだと勇気付けられたよ」

そう笑顔で仰られていました。

薬を飲むと本当に病気みたいで何も出来なくなる気がする。
最初はそう言った患者さんでしたが
うまく付き合えば、強力な応援団になることを悟ってくださり
また気力が沸かれたようでした。

これでメンタルの回復も早まるでしょう!
後は無理だけされないようにご注意されて
趣味を思いっきり楽しまれる事が一番の回復の源でしょう!!

退院されていかれる患者さんが
こうしてICUへご挨拶を下さるのは稀ですが
本当に嬉しい気持ちにさせていただきました。
やはり退院って素敵なものですね!

末筆ですが、お写真の拝借を快諾頂きましたtoshiyanさんに
心より感謝いたします。
ありがとうございました。


追記

サモア、スマトラと続いた巨大地震による被害で
中国に続いて再度災害救助活動に
派遣される可能性が出てきました。
(派遣可能か否かの打診がありました)
既に1次隊は今夜出発します。

まだ詳細は決まっていませんが
要請が入ればシフト変更など病院の許可の元、
即任地に就くと思います。
その際はお知らせする時間的余裕もなく
ブログ更新が途絶える事になるかも知れません。












at 19:37│Comments(8)TrackBack(0)素敵な出会い 

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この記事へのコメント

8. Posted by なすび   2009年10月16日 13:38
アキラさん、お返事遅くなり失礼しました。
人が生甲斐や趣味を持っていると言うことは
それだけで健康に過ごす一助になる気がします。
ですからこの患者さんがその趣味の楽しみにタメに
もう一度奮起しようと思っていただけるのなら
それは医療の限界以上の治療になる気がします。
そして手助けをお薬と私たち医療従事者が担えれば
それがまた医療従事者の心の支えなのかもしれません。
そうなれるようこれからも私自身の技量も磨かなければ
患者さんに失礼ですものね!
頑張ります(^^)
7. Posted by sinobueakira   2009年10月04日 02:30
定年を機に高山を縦走の楽しみがとんでもない事になってしまいましたね。
私も定年を機に昨年四国お遍路に出かけましたが無事に帰ってこられたことに感謝しなければいけませんね。
なすびちゃんから、思いやりのある看護を受けて、勇気を貰い生きる喜びを教えてもらって、感謝しておられる患者さん達はある意味幸運な人達かもしれませんね!
人と人のご縁とは、不思議なもので絡み合った多くの糸を手繰っていくと、初めから出逢うのが決まっていたようなときがあるものですね。
この男性も必ず、復活して又楽しい登山を再開される事でしょうね。
世界中で大きな地震が不気味に継続していますが、又なすびちゃんの活躍の場が出てくるかもしれませんが、少し心配です。
やっと、ブログの再開が出来るようになって、ほっとしていた矢先ですから・・・
お母さんもランディ君も心配している事でしょうね。
災害救助活動が決まれば再び世の為、人の為頑張ってきてください。
被災された方々の一日も早い復興をお祈りいたします。
6. Posted by なすび   2009年10月03日 09:15
徒然さん、おはようございます。
この患者さんも一度は悲観的に山を諦めていらしたけれど
視野が広がったと笑顔になられた際には
ある意味今回の病気が、ご自身の力強さを引き出したようで
気分的にも健康になられて退院されていかれたようですよ!
お薬を忌み嫌う人はまだ時々見受けられます。
飲む事はいけないことと思っていたり
服薬は病気に負けた証拠のように思っている方も
なかにはいるようです。
その辺の意識改革から患者さんと接すると
お薬とおのうまいお付き合いの仕方や
それによる行動範囲や考え方の拡充が伝わって
メンタルまでも健康になれる方は多いです。
だから時間を掛けてもゆっくり話し込んで
お薬や治療内容を説明するよう心がけていますよ。
昨夜も準夜の後、そのまま朝まで
派遣の際のシフトチェンジや、
新型インフルエンザのパンデミックと重なった場合の
シュミレーションなど上司と打ち合わせてきました。
実際に派遣されるかはまだ決まっていませんが
そうなったら気をつけていってきますね!
いつもご心配頂きありがとうございます(^^)
5. Posted by なすび   2009年10月03日 09:03
あいさん、おはようございます。
現地の惨状からすると、
一刻も早く医療の充実を提供したいのですが
国内事情も新型インフルエンザへの対応などもあり
スタッフのプライオリティが決められます。
みんなその道での訓練や最新知識を繰り返し積んだスタッフですので
誰が派遣されても最善の医療提供が出来ると思います。
災害はいつどこで起こるかわからない分
今出来ることをお手伝いできればと思っています。
4. Posted by なすび   2009年10月03日 08:58
ばあばさん、おはようございます。
テレビでも取り上げるほどの人気コースなのですね!?
山人の憧れと言うのが分かる気がしました。
WHOの医療スタッフは直接指示の入ってくる医療機関では
有名な人でDr.と言うよりコーディネーターとしての技量が
評価されてらっしゃる方ですね!
こう言う医療者がいることは同胞として誇こらしいですし
同じ医療従事者としては少しでも近づきたい存在です。
今回は派遣実施が不透明ですが
予定者の不都合などがあれば急遽要請される可能性もあるので
昨夜もシフトなどの調整に終われました。
ランディはしばらく母とお留守番になりそうです。。。
3. Posted by 徒然   2009年10月03日 00:30
「お薬は応援団」
私もなすびさんにそう教えてもらった一人ですから^^
今でも薬と上手く付き合えているかは謎ですが、なすびさんのおかげで母になることも出来ました。
だから、この男性がなすびさんにとっても感謝されている気持ちはよく分かります。
こんな風に病気だけでなくメンタルまでも看てくれるって患者さんにはありがたいことだと思います。
今頃、災害救助活動に備えてバタバタとされている頃でしょうか?
治安も悪くなっているという話ですし、病気等も気になりますが くれぐれもお気をつけて行ってらっしゃい^^
2. Posted by あい   2009年10月02日 11:48
ご無沙汰しています
この間中国での救助活動から帰ったばかりと言うのに
又余震などの危険地帯で人道支援されるのですか?
今日のニュースで救援隊が現地へ向かったと報じてますが
出来ればなすびさんたちが行かなくて済む状況だといいですね
派遣される手腕のある若い人材が少ないのでしょうか
なすびさんが新潟や中国などの災害救助へ行かなければならないほど
技量のある方なのは解かるけど、その分心配が増します
派遣が決まったら気をつけていってくださいね
1. Posted by Happyばあば   2009年10月01日 20:07
先日NHKの番組で槍ヶ岳の縦走を見たばかりでした。
3週間かけていましたけど、中高年の登山者がまわりにたくさんいましたよ。
自身の体調を事前にチェックして無理のないようにしないといけないですね。
この方もお薬の服用でまたトライできるかも知れないそうで良かったです!!
「プロフェッショナル」で見たWHOの女性医師はサーズの時だったと思いますが、その時も要請されればどこの国でも飛んでいかれてましたね。
とても大変なお仕事ですが同じ日本人としてちょっと誇りに思いました。
なすびさんにもまたまた派遣の要請ですか・・・
もし行かれるならばくれぐれもお気をつけて。
ランディくんはお母さんとお留守番ということでしょうか。

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