2009年12月01日

手を上げる? 上げない?

飛行機に乗っていて急病人が出た際などに機内放送で
「ご乗客の皆様の中に医療従事者の方はいらっしゃいませんか?」
と呼び出しをかけるシーンを、
ドラマの中などで見かける事がありますよね!?

勿論実際に急患が発生すれば、どの航空会社でも行う事ですけれど
余りその体験をする機会は無いと思います。
と言うか、しない方がいいのですけれどね!


お昼に食堂でご一緒した放射線科のDr.のお話ですが・・・

このDr.は昨年まで研修で海外の病院に勤務していた方で
現地で聞いた同僚からの話として聞かせてくださいました。

国内線の機内で急患が発生し、上記のようなアナウンスが有り
乗り合わせた乗客の中には残念な事に
Dr.や医療従事者はいらっしゃらなかったそうです。
(正確には名乗り出た医師はいなかったのかも知れません)

そんな中一人の若い女性が席を立ち
自分は医療関係者である事を告げ
応急処置に携わる事になったそうです。

しかし・・・・

患者さんはその後後遺症を患う結果になり
その遠因としてこの女性に対し損害賠償請求訴訟を起こしたそうです。

その理由は・・・・

この女性は医療関係者。
実際に現役で病院に勤務している方だったそうですが
その女性の持つ医療資格は日本で言う
 「准看護師」 並みの資格だそうでした。

つまりこの資格では医師や正看護師の指示・監督の無い状態で
医療に携わってはならない人だったそうです。

日本でも准看護師は法的に同様な医療範疇が決められていますが
この方の場合は、機内で他に医療従事者がいないので
自ら名乗り出て応急処置をしたというのに。。。

患者さんは
「医療知識の乏しい者が、医師などの指示のないままに携わった」と
言う事で、後遺症を残す可能性が排除できないとして訴えたそうです。

そしてその判決は・・・・
 「無資格医療行為」 として
高額賠償金の支払いを命ぜられたそうです。


この判例が妥当だとすると
専門医でなければ応急処置も「手を出さない方が無難」という
機運を作ってしまいそうで、この放射線科のDr.は
機内でのアナウンスには耳を貸さない様にしたそうです。

お昼を食べながらそんな話をしていたら
途中から一緒のテーブルに着いた内科の看護師のお友達が

「私も急患が出ても何も出来ないから手は上げないなぁ」 といった後

「この中で手を上げられるのはなすびだけじゃない!?」 

あのね!
救命の看護師だって何も無い機内じゃできる事は限られるんですよ!
そう言おうとした時に、Dr.が

「逆に現役のプロが出て行って、もし何かあれば後が怖いぞぉ~」 
だそうです。

確かに感謝の気持ちも大切だけど、患者さんにしてみれば
その後の生活や家族の負担の方が現実問題として大事ですものね。
取れる所から少しでも取って生活を死守しようと考えるんでしょう。
そう仕向ける弁護士も沢山いる所ですから。。。


もし機内でこんなページングアナウンスがあったら

手を上げる? 上げない?











nasubi83 at 22:10│Comments(15)TrackBack(0) 徒然に 

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この記事へのコメント

15. Posted by なすび   2009年12月05日 15:47
ばーびーちゃん、こんにちは。

席を替わって一件落着!
いいですねぇ、そう言うケアばかりだと(^^)

確かにそのシュチュエーションでは私も不快感満載になりそうですよ!
どうして私の周りは皆新婚さんなの!? 航空会社の嫌がらせ?
・ ・・、あれ、怒る方向が違うかな(^^;)


14. Posted by なすび   2009年12月05日 15:44
ばあばさん、こんにちわ。

国内での小児科や産科医への訴訟が多いのは事実ですよ。
それが理由でなり手が減っているというのは現実にあります。
なりて以外にも元々産科医だったり小児科医だった人が
訴訟リスクを嫌気して他科への転進をする人も多くいます。

そうなるとデススパイラルのように
小児科・産科医が減り、現場のスタッフが2人分・3人分と
こなさなくては成らなくなり、いずれ疲弊して辞めて行かれる。。。

そして街中から小児科や産科がなくなり
現在のように出産する病院が見つからない状態になったのでしょう。

どうも人の心の持ち方が違ったほうへむき出してしまったのかも知れませんね。。
ゆとりと思いやりをもって患者さんに接していたい。
そう願って向き合って生きたいと思います。

13. Posted by なすび   2009年12月05日 15:40
ニコニコおかみさん、こんにちは。

何でも人のせいにする風潮は本当に悲しいですね!
自分の事をもう少し振り返れる余裕を皆がもてれば
相手を思いやる気持ちも膨らむのでしょうけれど。。。

このケースはかの国での事ですから、社会基盤や考え方の違いは
私たちとは大きく隔たるのでしょうけれど
最近の医療界での訴訟の話を聞いていても
これに似たような話を耳にしています。
心にいつもゆとりを持っていたいですね!
12. Posted by なすび   2009年12月05日 15:35
Toshiyanさん、こんにちは。

本当に一番大事なのはおっしゃるように「心を持つ事」だと思います。
ニューヨークでは私が住んでいた頃でさえ
赤信号の横断歩道を渡って事故にあっても、ドライバーを訴えるのが当たり前でした。
その理由は、休業補償が無い保険制度だということです。
勿論故意に治療費目的に「せびる」ような犯罪もあるのでしょうが
一般には怪我等で仕事が出来なくなるとその日からの生活がままならない
だから過失割合に合った分だけでも支払ってもらわないと
家族を守れないというのが現地での友人たちの意見でした。
だから不用意に人助けをしたがらない人が多いのも事実です。
あっ、優しい人もいるのも間違いないですからお忘れなく(^^)

あちらでは「心の持ち方」がどうも私たちとは向きが違うのでしょうね。
それに輪をかけるのが弁護士活動の違いもあるのでしょうけれど。。。

11. Posted by なすび   2009年12月05日 15:28
徒然さん、こんにちは。

動物園でペイジングですか?
想像だけど日本国内なのだからアナウンスしているより
救急要請した方がより安全で早い処置が出来るのではないかと思うけれど・・・

実は救命とは言え交通事故の現場などへ出向いての応急処置をする時は
万全の体制ではないことのほうが多いですよ。
私も何度か現場での処置を経験していますが
もって行った器具では処置できず、手元にあるもので取り敢えず
生命を維持して搬送してきた事等ありましたよ。

出来うる限り生命の安全と回復に向けた処置を施すのが
患者さんやご家族の為と思っているのは徒然さんのお気持ちと一緒ですね(^^)

10. Posted by なすび   2009年12月05日 15:23
チャーミンさん、こんにちは。

最近裁判まで持ち込まれるケースをよく耳にしますね!
無資格医療行為として判断されたようなのですから
この准看護師さんにはいつもと同じように見えた症状が
実はもっと危険な状態だったという事を見逃して
勝手にいつもの事と思って医療判断をしたのでしょうか!?

良かれと思っての行動だったのでしょうけれど
やはり命にかかわる事ですから、知識が無い事を自己判断するのは危険ですね。
病状の変化をいつもの事と思い
いつものように処置してしまった気持ちは分かりますけれど
病状を読み取るにはそれなりの知識や経験が必要なのは
准看さんでも分かっていたでしょうけれど、慣れがそうさせてしまったのかな?
私自身もう一度その辺をしっかりと弁えないといけないと戒められました。

9. Posted by なすび   2009年12月05日 15:18
アキラさん、こんにちは。

善意がこう言う形で受け止められるのは悲しい事ですね。
人の為とか弱者の為といった思いやりは
どうすれば確り受け止めてもらえるのでしょう。

この話の方も、自分は医療従事者ではなく
関係者という身分を示していても、結果論的に追及されるのでは
「文化の違い」で片付けるには割り切れないものが残りますね。

8. Posted by ばーびーちゃん   2009年12月05日 15:08
複雑ですね~。

私は外ズラがいいのでつい一役かって
出たくなる方ですけど。

昔ハワイに行く時、スペイン人のご婦人
が熱が出て顔が真っ赤に・・・
「どなたか医療従事者の方?」の問いに居合わせたドクターが診てあげてました。

が、原因はなんと・・・
ご主人と遠いお席で、回りは日本人の新婚さんばかりだったため
ナーバスになってたのが原因でした(笑)
・・・
お席を変わって一見落着!
7. Posted by Happyばあば   2009年12月03日 13:02
この記事を読んでオットットさんと話してみました。
やはり私たちの意見は同じです。
この方も誰も行かれないので自分が出来ることならば・・と思われたと思いま
す。
アメリカが訴訟社会であることは良く聞きますが、こうやって勝訴して気が晴れるのでしょうかね?
日本で産婦人科や小児科が減っているのもこういう訴訟をおそれて・・というのもあるんじゃないでしょうか。
オットットさんは水泳をやっていましたが、目の前でおぼれてる人がいたら、きっと飛び込んでいくと思います。
もともと人間はそういうものを持っているのではないでしょうか・・
6. Posted by ニコニコおかみ   2009年12月03日 12:35
人の親切がこうした形で返ってくるなんて 空しいことです。
この時の状況は 良く分かりませんが
もし この方が応急処置をしなかったら
もっと最悪な状態になっていたかもしれませんし・・・!
緊急時に なんとかして差し上げたいと思うのが人の気持ちではないでしょか!
なんでも すぐに人の責任にし訴訟に持ち込む 今の社会はおかしいです。 
5. Posted by toshiyan   2009年12月03日 09:05
私もしのぶえさんの意見に同意です。状況にもよると思いますが、助けたいと思ってやったことが、こういう結果になるとは、本人も思ってもみなかったでしょうね。助けてもらったのに弱みにつけこんで訴訟を起こし、金をせびるなんて身勝手なことは私にはできません。

こんなことがまかり通るようなら、誰も手を貸そうとしなくなるでしょう。

私も先日山で救助活動しましたが、純粋になんとかしてあげたいと思う気持ちからでした。あとで余計なことをしてくれたと何かを理由に訴訟でも起こされたら人間不信になるでしょう。

手をあげるあげないは別として、もう少し心というものを大事にしたいものです。
4. Posted by 徒然   2009年12月02日 23:29
先日、子供と動物園に行っていたときに同じ放送がされていました。
夫と「お医者さんが居ても家族サービス中でしょ?放送に気が付いても無視する人も居るやろね~ それに、動物園側ももしもの時に備えて放送で呼びかけたという事実が欲しいだけじゃない?」と話しました。

万全の体制の整っていない中での仮の治療となると、色々なリスクが有るのでしょうね。
でも、自分に知識が合ったとしたら 出来る限りの事はしたいですよね。
たとえ、何か治療が出来なくても とっさの時には本人・家族共に医療関係者が居てくれるってだけでも少しは安心なんじゃないかなぁ~
3. Posted by sinobueakira   2009年12月02日 12:07
満員の大型バスが高速道路を走行中に、バスの運転手が心臓発作でハンドルを握ったまま運転不能になった場合に、大型免許免許は仮免、又は普通自動車免許しかもっていない乗客が一人だった場合、(幼稚園や小学校の先生やバスガイドさん等が考えられる)大型免許を持っていないからと言って運転を代行しないでしょうか?
とっさの判断でと言うより本能的に運転手にかわっれハンドルを握っていると思います。そして駐車可能な地帯か次のSAまで運転すると思います。
その代行した人は大型運転免許がないからといって訴えられるのでしょうかね?
2. Posted by チャーミン   2009年12月02日 10:10
ブログ引越しご苦労様でした!
私の所のような田舎の病院でさえこう言った医療事故が問題になったことがありますよ。
やはり准看さんが看護師の指示を待たずに
自己判断で処置をしてシャントからのエア漏れ起こし、それを見た患者さんの家族が病院とこの准看護師さんを訴えたと言うことです。
その時の准看の言い分は「Dr.も正看も忙しそうで前に何度かやった事があるのでやった」と言う事でしたが
裁判になると当然それは無資格医療として判断されたようです。
周りが忙しそうで待っているより自分で処置しようと思ったのでしょうが
准看護師がやってはいけない事をしたのですから処分も仕方ないのでしょうね。

田舎では白衣を着ていれば看護師も准看護師も
見た目では同じ看護師として患者さんに写るので
准看さんも自分が正看護師と勘違いしてしまう人もいるようです。

命に関る事だから出来ない事や知識の無いことに
しゃしゃり出るのは危険な行為だと思います。

素人以上の応急処置知識は航空会社の乗務員の方が
しっかりと研修を受けているのですから
一般の人が手伝える事は殆ど無いでしょう。
野次馬的に手を上げられても乗務員も患者さんも困ると思います。
1. Posted by sinobueakira   2009年12月02日 00:40
もし私がその場にいたら・・・
自分自身の身分を明確に説明し、お手伝いできる範囲で協力すると想います。
文中に登場する准看護師さんに慰謝料を請求する人の心が解りませんが、裁判社会のアメリカあたりでの話かもしれませんが、狂っているとしか言いようがないです。
人の命の手助けになれればと勇気を持って手を上げた事がこんな結果になるのはアメリカ人のように割り切れませんね。

もし、自分で手を上げなった場合、何時までもその事に自分自身の心にわだかまりが残ってしまうと想います。

自分自身の身分をはっきりと明確に説明する事は大事な事だと思います。
何でも訴訟する社会にはついていけませんね!
偶々今日は親父の命日でしたが、困っている人の面倒を見るのは当たり前のことと考えていた親父でした。

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