2010年01月03日

雪国便り~ドクターヘリよ飛んで来て!

強い寒波のこの季節、
診療所での対応が多少は病院並みに出来るようになり
吹雪の中、遠くの病院まで通院や緊急搬送しなくても良いかと
僅かながらも地域の人に安心を与えられているかな。。

そんな驕りとも思える勘違いをしてしまっていたのです。

当初より分かっている事でしたが
ここで対応できる症例は本当にごく僅かです。
Dr.やCNがどう頑張ったって、設備の整った医療機関に
勝る事はできないのですから・・・。

そんな中、一人暮らしのおじいちゃんの様子が変だと
近所の方が診療所へ連れて来て下さいました。

その段階で既に意識は無く、自発呼吸も弱くなりつつあり。。
ここでの対応には無理もあり市内の救急病院への移送を要請。

それがその病院は満床且つ救急医の手配がつかない
そう言う返答でした。
救急医はこちらから同行すると言う事で
何とか受け入れをお願いしたのですが
この吹雪の中、救急車がこちらへ来るのに時間が掛かることと
患者さんの状態から一般車での移送は危険との判断から
広域医療応援体制を整えるドクターヘリを要請しました。

なのに・・・・

この天気では飛べるかどうか分からない!
何とか雲の合間を飛べたとしても、
降りられるかはそのときの機長の判断に委ねるしかない。
しかも夕暮れに間に合わなければ
明日朝まで飛ばす事はできないとの回答でした。

市内の病院から救急車が到着するまで
何とかDr.と二人で患者さんを安定させられるよう対応し
患者さんを連れて来てくれた方がヘリが下りる予定の
学校の校庭近くで空模様などチェックしながら
携帯で連絡を入れてくださることになり
村の人が皆で応援してくださいました。

危険な気象条件の中、何度かのアプローチを
試みて下さった機長さんからも何度も連絡を受けたのですが
校庭ではヘリの音すら聞こえなかったと言うことで
雪雲に包まれた山あいの中の降下は難しかったのでしょう。

そうしているうちに救急車の到着が近づき
陸路で何とか搬送する手配が整い
うちのDr.が同乗していく事で患者さんの搬送を終えられました。

結局一度もお顔を拝見する事は無かった機長さんは
最後まで「ダメだ」とか、「降りられない」とは言いませんでした。

無線からは何度も
「もう一度遣ってみよう」・「もうチョッと下がってみよう」
そんな声が聞こえていましたよ。


ヘリに乗れれば県内でも有数の病院で治療を受けられたでしょう。
救急車の搬送はこの天気では2時間以上かかると言うのですから
その間の急変リスクも患者さんの大きな負担です。

しかも受け入れ病院は処置は出来ても
その後の入院加療はベットの空いている
別の病院へ移送しなければならないのですから
まだまだ安心できません。

夜になって無事移送完了、
これから処置に入るとの連絡がありました。

Dr.は明日まで戻って来れないでしょう。
私は入院患者さんのお世話をしながら今夜も当直です。








nasubi83 at 01:03│Comments(8)TrackBack(0)雪国便り 

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この記事へのコメント

8. Posted by なすび   2010年01月06日 01:47
ばあばさん、こんばんは。

この患者さんは搬送直後は診療所の応急処置で意識回復もされ
市内の病院までの搬送も乗り切れると判断したのですが
病院での処置の後、別の市の病院までの搬送も加わり
まだ呼吸器も外せない状況が続いているとの連絡を受けました。

もしヘリに乗れていれば当初からその病院や3次指定の病院などで
高度救命を受けられたのでしょうけれど・・・。

留守宅の戸締りに来たと言う、札幌に住んでいる息子さんが
近所の方と一緒に挨拶に来て下さり、当時の状況を説明しました。
「最悪の中の最善」 
私たちがお手伝いできた事は
ほんの些細な事でしかなく、患者さんの回復を祈るしかありません。

7. Posted by なすび   2010年01月06日 01:39
wiredさん、こんばんは。

年末からの風邪が中々抜けない以外は
何とか元気でやっています(^^)
でもこの土地ならではの危機意識も実感して
多少参っている天もあるのも事実です(^^;)
それでも土地の人々の支えあいの心の優しさに
毎日励まされて乗り切っていますので安心してくださいね!
いつもご心配頂き本当に感謝しています!

6. Posted by なすび   2010年01月06日 01:35
けいちんさん、こんばんは。

尊敬なんてとんでもないですよ(^^;)
私の選んだ仕事がこう言う現場だったと言うだけで
けいちんさんのお仕事は、
私にとってはどれほど悲しい思いをしたときでも
その作品を見せていただけるだけでリフレッシュできる
そう言うパワーを持った素敵なものだといつも感じていました。

特に17日を経験されているけいちんさんの優しい作品は
お写真を拝見させて頂いていても未知の力を感じています。
どんな仕事であれ、人の心を支えられているその素晴らしさに
今は支えられています。
いつもありがとうございます(^^)

5. Posted by なすび   2010年01月06日 01:30
アキラさん、こんばんは。

僻地ならではの苦境を体感しています。
ここでは「ドラマのような」と言うより、
この現実があるから、脚本家の方が演出を含めて
ドラマに仕立てられているという感じですね。

ドラマは見て終わりますが、このおじいちゃんのように
実際に自分自身やご家族が倒れ、
救急車を呼んでも2時間も搬送にかかると言われて初めて
日本医療の脆弱さを実感されるのでしょう。

人事に「政治に期待するしかない」と言うのは簡便ですが
誰しもが明日は我が身の現実である事も忘れてはならない事ですね。

4. Posted by Happyばあば   2010年01月05日 09:27
お正月早々明るい話でホッとしていましたが、
やはり油断はできませんね。
緊迫感が伝わってくるようです。
この患者さんは皆さんのリレーできっと良くなられることと思います。
私が今、週1~2回お見舞いで通ってる隣町の大学Hも三次救命施設になってますので、ドクターヘリが行ったり帰ってきたりというのを何回も見ています。
その都度急を要する患者さんがいるのですよね。
大事な命ですからみんな助かってほしいと思いながら見上げています。
慣れない雪国でのお仕事は相当大変なことと思いますが、出来るだけ休養を取りながら、皆さんのために頑張ってくださいね。
ランディ君はお元気ですか??
(楽しいお祝いメールありがとうございました~)
3. Posted by wired   2010年01月04日 23:46
こんばんは
過疎の村や雪深い所には
緊急な事態が起こっても何も出来ないのですね
すべてが危険との隣り合わせになるし
考えさせられる
迷走を続ける現政権では
医療の現場を改革していく力はないのかな・・
政権が変わって全てにおいてスピーディーに変わることを期待していたのだけど

なすびさん、無理しないでね
あなたが倒れる事が僕は心配です
おじいさんは無事に元気になられましたか?
2. Posted by けいちん   2010年01月04日 17:49
なすびさんのブログを拝見してていつも感じてたんですが
本当に救命救急やドラマで見ているような場面がいつも現実にあって、それを目の当たりにしてお仕事されていることに
改めて尊敬せずにはいられません。

お逢いしたことはなくてもこうやって
なすびさんと知り合えたことが私にとって大きな宝物です。

1. Posted by sinobueakira   2010年01月04日 01:07
おじいちゃんは無事だったのでしょうか?
ドラマのような厳しい状況だったことがよく解りました。
今晩はなすびちゃん一人で入院患者さんのお世話ですか、大変ですね。
村の人々の協力が通じて無事におじいちゃんが回復してくれるといいですね。
やはり医療現場の環境整備には送球に対応してもらいたいですね。
人の命の尊さを、優先しなければ”友愛”なんて、絵に描いた餅になってしまいますね。
「無理をしないで」となすびちゃんに言っても患者さんを守ってやれる人はなすびちゃんしかいないのではどうしても無理をしそうですね。
お疲れ様です。頑張ってください!!

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