2010年06月24日

お母ちゃん、会いたいよ。。

お母ちゃん、会いたいよ。。。

それがこの患者さんの最期の言葉でした。
90代男性、倒れられるまでは見当識障害も無く
かくしゃくとされたおじいさんだったようでした。

日課にされている朝の散歩から戻った際に
ご家族が何処かで転倒されたような跡に気づかれ
何度か問いただしても恥ずかしいのか返答されずに
服を着替えられていたそうです。

着替えた服には失禁の痕も有ったようで
恐らくそう言った事を知られたくない気持ちが有ったのでしょう。

着替え終わった頃を見計らって様子を伺いに行くと
気分が悪いと胸を押さえれて横になっていたので
暫く様子を見ていたそうですが、余りに苦しそうなので119要請。


こちらに搬送された時も、私達との受け答えも可能で
呼吸を楽にする処置をしながらも苦しさの割には
確りされた患者さんと言う印象を受けていました。

ただ苦しさの原因は予想したように
肺機能の低下で酸素が取り入れられない状態。

恐らく転倒時に胸部打撲があり
肋骨の一部が肺に食い込むような状態で損傷
緊急オペの準備をしている時でした。

薄れ行く意識の中で発した言葉が。。。

「お母ちゃん、会いたいよ」



高齢者にありがちな容態の急変。
急激なレベルダウンで間もなく呼吸停止。

普段は一人で散歩するほど確りされている患者さんと言う事もあり
年齢に捉われずに救命措置を施せると判断されたのですが
心マを続けながらの処置にも反応が無く・・・



突然の悲しいお別れの際に、付き添われたご家族へ
最期のお言葉を伝えたのですが。。。

「じいちゃんは強い男と言う印象だから
 母親を呼ぶなんて・・・
 自分ももう直ぐそっちへ逝くよって思ったのかな」









nasubi83 at 12:38│Comments(4)TrackBack(0) 病棟 

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この記事へのコメント

4. Posted by なすび   2010年06月26日 20:44
アキラさん、こんばんわ。

確かに物凄い激動の社会を歩まれた
そんな時代を歩まれた人生だった年代の方でした。

気骨のあるというのか、頼もしいお父様だった事なのでしょうね。
ご家族のお話を伺いながらそんな気がしました。

そして多分のお呼びになった相手は
このおじい様のお母さんのような気がします。
おばあ様は具合が悪いようで病院へは駆けつけられませんでしたが
ご健在のようですから・・・

それでも男性にとっての母親像・奥様像とは
それほど偉大なものなのでしょう。
ある意味素敵な最期のお言葉だったのかなって思っています。

3. Posted by なすび   2010年06月26日 20:38
マリオままさん、こんばんわ。

確かにお迎えが来た気がするって
仰る方はいらっしゃいますね。
本当にご先祖様が迎えに来たのかどうかは
その人にしか分かりませんが
きっとあちらの世界へ行っても安心できそうな
そんな落ち着いた気分になれるのかもしれないですね。

お天気がよければ又お休みの日にはランディ連れて
いつもの公園などへお散歩に行きますので
その節はこちらこそご一緒に遊んでくださいね!

2. Posted by sinobueakira   2010年06月25日 23:57
私の父が亡くなったのも93歳でしたから同じような年代の方ですね!
大正生まれの男は戦争も経験し、厳しい時代を生き、戦後の日本の復興に力を注ぎ、次世代への礎を築き揚げてくれた貴重な世代の方々ですね。
戦争の悲惨な経験をされている方々は口数は少なく寡黙な方が多いようですが、弱みを見せることもなく、忍耐力の強い人が多いですね!
お母ちゃん、会いたいよ!!のお母ちゃんが母親なのか奥様なのかわかりませんが、この世に生を受けた中で、母親、嫁の存在は偉大ですね!
どんなに怖い男達でも、母親や嫁には叶いませんし、何時も自分の味方だと思える人です。
強いお爺ちゃんも、最後に自分の本音が出たんでしょうね!
ご冥福をお祈りいたします。
1. Posted by マリオまま   2010年06月25日 17:18
お迎えが見えたのかな!?
そんな気がします。

ランディママさんは毎日のようにこんな極限の中で
お仕事されているんですね。
つくづく普段のあどけない優しい笑顔からは
想像できない立派な方だと感心していますよ。

今度のお休みには又マリオとも遊んでくださいね!
ランディ君に会えるの私も楽しみにしていますから^^v

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