病棟

2011年05月29日

覚えておいてな・・・

救命が必要な場所は被災地ばかりではなく
日常に戻った私の職場にも
当たり前のように重症患者さんは毎日搬送されて来ます。

建設現場の足場からの転落事故による外傷。
既に大量の出血が有り、意識混濁しながらもうわ言の様に
救急車から処置室へ移動するストレッチャーの上から
お名前を聞いている私の腕をつかみながらも
何かを訴えている言葉が聞こえました。。。


「忘れないでな・・・」

そう聞こえました。
誰か身内の方と見間違っているのでしょうか、
それとも誰かへ託す言葉なのか。。。


転落時に足場の下に置いてあったエクステリアの部材に
下腹部が刺さるような形で落ちているので出血以上に
臓器損傷が著しく緊急オペに移行しましたが
残念ながら助ける事は出来ませんでした。

そしてその後この患者さんの身元についてちょっと問題が・・・

雇用されていた工務店の方がご家族へ連絡されたようですが
履歴書に書かれた連絡先には誰もいらっしゃらないようで
しかも持っていた運転免許証と履歴書の名前が別人だったそうです。

ご遺体を一時病院でお預かりしている間に
工務店の方が履歴書の住所を尋ねると、
そこに記された名前はお兄様のお名前でご本人は免許証の方でした。

色々ご事情があったようですが、名前を伏して職を探し
最期はお兄様になりきった形で旅立たれてしまいました。

「忘れないでな・・・」

あの言葉の意味は、
もしかしたらご本人様の自分としての存在そのものを
誰かに忘れないでいて欲しいと、そう託されたのかも知れませんね。

自分がこの世に存在したその証を誰かに「忘れないで」と
そう最期の瞬間に願ったのでしょうか!?

その本位は今となっては分かりません。
それでも最期に言葉を掛けられた相手として、
私は忘れないようにしていきましょう。


この所、ここでも心を震わす事が多くて疲れました。
少し休みましょうかねぇ。。












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2011年05月22日

接種スケジュール

おめでたいことに、私の周りに妊婦さんが増えました!!

この所、暗い話題の多かった私の周りに
徐々にですが明るいGood Newsが届き始めました

そして時々質問されるのが、新生児のワクチン接種について・・・。
その副作用なども気になる事柄ですが、
まずはその摂取スケジュールが
先日小児化学会から発表されていましたので
ここへ添付してみます。

お子さんのいらっしゃる方々は既にかかりつけ医などで
目にされているかも知れませんが
結構、これに関する質問も多いので一応張っておきますね!

お子さんやお孫さんのためにも参考になればと思います。。



子どものワクチンをどんな時期に打てばよいのか道筋を示した接種スケジュールを日本小児科学会(会長=五十嵐隆東京大教授)がつくった。ワクチンの種類が最近増えて接種の優先順位をどうすべきか医師や保護者に困惑が広がっていた。近く学会のウェブサイトで公開する。

TKY201103020483


 ワクチンは公費負担がある「定期接種」と自己負担で打つ「任意接種」がある。同学会は今回、重要さは同じだと位置づけ、ひとまとめにしたスケジュールをつくった。

 B型肝炎は現在、母親から子どもへの感染を防ぐため、ウイルスに感染した母親の子どもに限って公費で接種している。しかし性交渉などによる感染も増えており、スケジュールでは全員が打つよう勧めている。

 毎年のように流行し100万人近くがかかるという水痘(水ぼうそう)や流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)では、1回接種しただけでは十分に免疫(抵抗力)が保てないため、今回は推奨する接種回数を増やした。

 また海外の取り組みにならい、接種を始める年齢を、乳幼児の細菌性髄膜炎の原因となるインフルエンザ菌b型(ヒブ)や肺炎球菌で1カ月早めた。インフルエンザでも6カ月前倒しにした。

 数多くのワクチンが打てるよう、複数のワクチンを医師が同じ日に打つ方法(同時接種)も勧めている。同じ日ならワクチンに対する免疫反応がまだ起きておらず、複数のワクチンが効果を相殺する心配はない。ただし注射位置は2.5センチずつ空けるよう求めている。推奨する時期に接種できなかった場合は、医師に相談すれば対応できる。

 接種スケジュールと接種を記録するチェックシートは同学会のウェブサイト(http://www.jpeds.or.jp/)からダウンロードできるようになる。

 同学会は今後、▽成人での流行が問題になっている百日ぜき対策として、現行のジフテリアと破傷風の2種混合ワクチン(DT)に百日ぜきも加えた3種混合ワクチン(DTP)に移行▽ポリオワクチンをより安全な不活化ワクチンに変える▽0歳児へのインフルワクチン接種量を増やしてより免疫がつきやすくする、ことなどを厚生労働省などに求めていく予定。(



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2011年02月15日

特に寒い時期はお身体を冷やさないように!!

立春はとうに過ぎたというのにまだまだ寒い日が続きますね!
こちらでは今冬初の積雪を観測した昨夜は
準夜帯から深夜帯に掛けて転倒などでの搬送が相次ぎましたが
皆さんの方ではいかがでしたか?
寒さに負け体調崩されたりされていませんか!?

私は帰国して間も無く気候の変動と疲れからか・・・
チョッと風邪をひいたようで寝込んでしまいました。
この時期は寒さからか風邪をひいてしまうことも多いですね。
なんでこの時期に風邪をひく人が増えるのでしょうか!?

実は寒いと風邪やインフルエンザウィルスが活性化して
活発に動き回るのがその大きな原因の一つになるんですよ!

風邪やインフルエンザの原因になるウィルスは
およそ200種類あるといわれています。
そしてその多くが15℃以下で活性化(元気に動き回る)する上に、
湿度が40%以下になると空気中に漂う時間が長くなると言う
研究成果が学会でも発表されています。

身体の方も外気温が下がるころから運動しようとする気力も失せて
じっとしていることが増えませんか!?
寒いからコタツに入ってTVに向き合う時間が増えるとか
お散歩もいつもに比べると短い時間になったり・・・

そんな事から知らず知らずに基礎代謝が落ちて
体温(平熱)が下がってしまうことがこの季節はよくあるんです。

侵入した病原菌を撃退する身体の防衛機能でもある
白血球の運動は平熱が1℃下がる事で
その活性能力が3割近く低下すると言ったデータも有るので、
病原菌に打ち勝つ能力が落ちて、病気を発症してしまうことが
暖かい季節に比べ増えるのは裏付けられます。
だから寒い季節は風邪を引きやすいのかも知れませんね!

でも人間って不思議なもので、
寒さが続いたり元々寒さの厳しい地域に住んでいると
自然とその環境に順応していけるんですよ!

だからインフルエンザなどもピークは寒くなりはじめですよね!
今年もすでにピークは過ぎたようだとの報告も有ります。

そして患者発生数のレポートを見てみると
寒いから風邪やインフルエンザにかかると言う訳ではない
そんなデータが読み取れるんですよ。

それは患者数の分布が人口比で日本各所ほぼ均一なのです!!
つまり寒いとはいえ、北海道・東北地方の患者数と
比較的温かな九州・沖縄地方の患者数にあまり大きな差はなく
その事から、寒さだけが風邪やインフルエンザにかかる
主な要因ではないと言うことがいえるようです!

つまり北国の方々は毎年の寒さや乾燥を生活の一部として
体温が下がらないように工夫されていたり
何より生物の本能でもある生き抜く為の適応力が
体内に備わっているのではないかとも考えられています!

身体を冷やさないよう心掛けること。
それって簡単で当たり前なことのようですけれど
結構大切な自己防衛能力のひとつなんですよ!

これは風邪などに限らず、体力の低下時や疲労の蓄積時など
体調を崩しやすい時期には全般的に言えることですので
特に寒い時期は皆さんお身体を冷やさないよう
暖かくしてお過ごしくださいね!

今しばらく続きそうなこの寒さですが
風邪になんか負けないで春を迎えましょうね!

付け足しですが。。。
勿論夏の湿気や暑さを好む病原菌やウィルスもありますので
夏風邪には別の対処法が必要ですけれど。。。

それでも免疫反応を活性化させるためには
夏でも身体を冷やしすぎるのは
体内に侵入した病原菌をやっつける白血球の活動や
自己免疫能力を弱めてしまったりするので気をつけましょうね!









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2010年12月18日

1週間続く風邪は風邪ではないですよ!

ここへ来てお子さんからお年寄りまで
ノロウィルスなどの症状が悪化して搬送されるケースが増えています。

70代女性、半月程前に同居されているお孫さんが
風邪に似た症状で数日学校を休んだ際にお世話をしていたそうです。

お孫さんが回復した頃、ご自身も体調を崩され
パート仲間の知合いで若い頃病院で働いていたという人に相談したら
風邪だろうと言われて安心し手元にあった市販薬を飲んだそうです。

それでも微熱や咳が収まらないので近所のクリニックを受診
そこでも「風邪」と診断されお薬も処方されたそうです。

3日分のお薬を飲んでも回復せず、食欲も落ちたままなのを
ご家族が心配して他のクリニックを受診したところ
そこから脱水症状もあり危険なので救急要請され搬送されて来ました。

発症してからすでに2週間余り。。。
最初に受診したクリニックで風邪と診断された段階で
既に1週間近くが経過していたので、後は悪化するばかりの状態。。

ノロは初期症状が風邪と見分けがつきにくいので
最初は風邪の対応をしがちですが、有効な抗生物質が異なる為
3日ほど服薬しても改善しないようなら
ノロを疑い処方薬を変えるのが一般的です。

この方の場合は、初期症状が出てから受診されるまでに
市販の風邪薬を飲むなどで時間がかかった上に
診断したクリニックで症状が1週間続いている事を把握したのか!?
ちょっと疑問の残る診断をされ、回復のチャンスを逃しています。

風邪ならば処方薬で改善しますし、
もし1週間も回復傾向がみられなければ、医療者ならば次の手を
打つのが必須ですしその重要性を認識しているはずですから・・・


幸いこの患者さんは嘔吐などの症状はなかったようで
二次感染を引き起す事は無かったようですが
既に脱水症状が顕著で食事も進まない為体力も落ち
安定後も少し一般病棟での入院が必要でしょう。

健康なら余り気にならなくとも、お子さんや高齢者には
このウィルスは厄介ですし、非常に感染性が強いため
皆さんもお気を付け下さいね!

もし嘔吐された場合は、直ぐにマスクをして吐瀉物を取り除き
塩素系消毒薬などでその場所や空間を消毒する必要があります。
恐ろしいことに吐瀉物をふき取った場所が乾燥した後でも
消毒がなされないと感染の可能性が残る非常に強いウィルスですよ!

お薬を飲んでいるにも関わらず、風邪のような症状が
1週間以上も続くようなことが有れば、
それは風邪ではないと思って早めに受診され
発症からの経緯や服薬経過を告げてくださいね!

それが自分の回復と周りへ排菌しない為にも
一番重要な対策にもなりますので!!





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2010年12月10日

夕景は希望へ

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寒くなって病院の屋上へ出られる方も少なくなって来ました。
それでも日中は陽だまりを楽しむかのように
病室での闘病の頑張りからリフレッシュできる屋上へ出て
遠く雪化粧した富士山の雄姿を望まれる方はいらっしゃいます。

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寒くなったこの頃は夕焼けを楽しまれる患者さんも少ないですねぇ。

それでもパジャマの上に厚手のコートを羽織って
富士山の見える方角のベンチに腰を下ろされている
一人の患者さんがいらっしゃいました。

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夕食前のひと時、夕景を楽しまれていらっしゃるのか
そっと横へ座って声をお掛けしてみました。

夕景は美しいものですが、少しだけ物悲しいものでもありますね!
患者さんが一人で寒い時期にベンチにずっと座っていらっしゃるのは
やはりちょっと気になりますもの。。。

病気との闘いの中で、時に自信を失う事もおありでしょう。。。
同室の患者さんへ多くのお見舞いが来ているのに気を使って
お一人だけ屋上で気晴らしをされることもおありでしょう。。。

不安を一人で抱え込まれては、回復にも影響してしまいます。
回復さえ順調ならどこかに自信が湧くものです。
勿論その後のことで悩みを抱えてらっしゃるケースもありますが・・・

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ちょうど富士山へ夕日が沈むその頃に
その患者さんが、少しづつ胸につかえた思いを口にして下さいました。

病気は既に殆ど回復され、次回の検査結果が良ければ
年内にも退院が決まりそうなのだそうです。

それは嬉しいことなのですが、入院が永かったことで
ご家族や勤め先に迷惑を掛けたことを少し悔いているそうで
そんな気持ちを落ち着かせるためになんとなく夕日を見に
屋上まで上がってみたそうでした。


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一瞬のパラダイス!

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そして目にしたのが、この夕景の美しさ!!

富士山へ沈む夕日が、その明るさを隠す前のホンの一瞬
綺麗に輝きを増しました♪

そして暫しの別れを告げるかのように山影へ姿を隠して行きました。
又明日東の空で会おうねって約束をして。。。

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そんな自然の姿をご一緒に見ていて
ソロソロ寒くなるからお部屋へ戻りましょうか!? と
声をお掛けしようとした時に・・・

この患者さんが目に涙を浮かべながら呟くように

「看護師さん、綺麗な夕日だったね! 
 また明日もあの夕陽を見れるんだよね!?
 俺は退院できるんだから、あんな綺麗な夕日を又見れるよね
 それだけでも十分幸せなんだよね!?
 クヨクヨしても何も始まらないものなぁ。。。
 一人でベンチに座って見てても何も感じなかっただろうけど
 二人で見る夕日って良いものだね。
 力が湧いて来たよ、ありがとう!!」

そう仰って私が差し出したハンカチを隠れるように濡らして
病室へ戻られました。

夕日の美しさ、綺麗なだけじゃなく
こんなパワーも授けてくださいました!


元気に回復され退院できること、それは本当に幸せなことです!
後は焦らず無理せず一歩一歩。。。













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2010年11月10日

海外旅行先からの搬送

この夏休み、
海外旅行へ出られた方も多いのではないでしょうか!?
皆さんその際には旅行傷害保険などに加入されていますか!?

先週搬送された患者さんは50代男性。
海外から帰着された航空機より、民間の救急車両を使って
ご自宅の傍の病院と言う事でうちへの転院搬送になりました。


8月に夏休みを利用してヨーロッパへ家族旅行をされた際に
現地で脳出血を起こし意識不明のまま入院。
幸い観光名所からフライングドクターサービスで
近隣の大規模病院へ短時間で搬送され、
即オペとなりそのままICUにてふた月余りの入院生活だったそうです。

同行された奥様は語学力に全く自信がなく
医者の説明や付添いの際の宿泊先などの手配も
全て通訳を介さないと何も進まない状況だったようです。

幸いパッケージ旅行だったようで、現地係員が通訳などの手配をされ
病院近くのホテルの手配などもしてくれたようなのですが
通訳とは言え、医療用語をそのまま日本語へ訳せる人は少なく
日本語での既往症を伝えても、それを上手く医師に伝えられないなど
何度も何度も聞き返しながらのやり取りで、
奥様にとっては可也ストレスの貯まるふた月だったようです。

それでも容態は日々安定され、意識は戻らないものの
安静を保てるようなら帰国も可能だろうと言う事に。。。

そこで再度旅行会社の方へ帰国便のベット手配や
空港までのアンビュランスの手配など一切を頼み終えて
それまでに日本から駆けつけていたお嬢様も一緒に
帰国しようとされた際に、現地係員から知らされた全ての請求額が
なんと入院治療費のみでも数千万円掛かっていたそうです。

幸い医療費は海外旅行傷害保険でカバーできたそうで
現地では一切の支払いはなかったそうですが
もし保険に入っていなかったらと思うと。。。
そう言って現地での請求書のコピーを見せてくださいました。

奥様もお嬢様も、先ずはご主人のお身体の心配で頭が一杯な時に、
自分には分からない外国語で書かれた請求書や
現地通貨で示された請求額などを円換算する余裕はなく
しかも通訳が病状についてよく説明出来ない様子なので
お金の事など二の次・三の次と言ったところでしょう。


見せていただいた現地の請求書を見ると
請求は1週単位で、支払いが無い場合は退院してもらう・・・
シッカリとそう書いてありました!

つまり意識のない入院患者でも、支払いが無ければ直ぐに
治療レベルの低い公営病院へ転院させるということなのでしょう。

ただ公営病院はベットが常に満床で、
新たな受入れが可能かどうかは時の運です!
しかも高度医療は期待できないのが一般的です。



日本でも医療費は基本的には可也高額です。
それを収入などに応じて3割負担とか、負担0とかの
医療保険制度(政府管掌保険)があるので
個人での支払額は安く抑えられています。

勿論保険適用外の治療もあるので
それらは可也な高額になりますね。

日本でも保険証を持っていない外国の方や
保険料を滞納している方たちで正規手続きをされていないと
やはり治療費の全額負担になりますから
それなりの請求額になるので、その大切さを実感された事でしょう。


この奥様も帰国時の機内で本当に保険に救われたと
思われたそうです。

もし全額負担を請求されていたら、主人の容態どころじゃなく
どうやってお金を工面するかで頭が真っ白になるところだった。

そう言って少し微笑まれていました。

楽しい思い出作りのはずの海外旅行で
ご主人様が急に倒れられ、早くもふた月半になります。
未だ意識はハッキリしませんが
やっとご自宅近くへ戻られたのですから
後は何とか回復への道筋が見えられると良いのですけれど。。。








nasubi83 at 02:37|PermalinkComments(4)TrackBack(0)

2010年11月05日

タクシードライバーのpathos

準夜明けの午前1時過ぎ。。。
やっと勤務も終わったと、同じシフトをこなした看護師さんと
更衣室へ向かう途中のフロアで缶コーヒーで一息入れていたら
循環器病棟から「急変」の連絡が入ったと、
引き継いだばかりの深夜帯の看護師さんが呼び戻しに来ました。

病棟で患者さんが急変された場合、時間帯やその状態によっては
救命のスタッフが駆けつけて処置を行なうことがあります。
その際、救命救急が手薄になるので認定看護師や専門看護師は
そのカバーのために呼び集められる事があります。

当然私も呼び戻されて、救命のDr.やCNが戻るまで
搬送されてくる患者さんの受け入れ態勢を整えていました。

1時間ほどして病棟から戻ったスタッフと引継を終え
やっと帰れると思って更衣室へ向かったのが既に3時近く・・・

また遅くなってしまったので、仕方なくタクシーで帰ろうと
タクシー乗り場へ向かうと、ちょうど1台だけ止まっていて
待たずに乗れるのがちょっとラッキーという気分で近寄ると・・

運転手さんが、シクシク泣いているんです。。。

「すみません。。 乗せてもらえますかぁ!?」
そうお聞きすると、目頭をぬぐって 「あっ! どうぞ」

行き先を告げた後、 「どうかなさいましたか?」とお聞きすると
運転手さんが少し鼻を啜りながら話し始めて

いま此処まで乗せて来たお客さんが
お父さんが危篤に成ったと連絡があったのに
その時は居酒屋で盛り上がっていて携帯が鳴ってるのに気付かず
留守電を聞いて慌ててタクシーに飛び乗って駆け付けたけど
こちらへ向かっている途中で、亡くなったと電話があったそうです。

タクシーに飛び乗った時に、「兎に角急いで〇〇病院へ」と言われ
ただ事じゃないのが分かって、出来るだけ飛ばして来たのに・・・

車中でも危篤になったお父さんの話や、
自分が飲んでいて電話に気付かなかった事を悔やんだり
自身を攻めるお客さんの気持ちが痛いほど伝わり
何とか早く着くよう道を選びながらもお客さんを励まし
ずっと話しかけていたのに・・・

亡くなったと連絡があった所からは、逆にかける言葉もなく
車中はずっと無言の空間になってしまったそうでした。

この運転手さんも一昨年お父様をなく亡くされていて
もうすぐ三回忌の法要なのだそうです。

その時も、乗務明けの非番のお昼ごろで
やっと寝付いた所だったので、病院からの電話に気付かず
駆けつけた時には既に事切れた後だったそうです。

だからなのでしょう、このお客さんの気持ちが
自分にフラッシュバックして涙が止まらなかったようです。


たまたま乗せたお客さんとの会話の中で
こんなにも相手の気持ちを受け止めて
少しでも早く着けるよう考えながらも励まし続け走ってきたのに。。。


もしかしたら私が呼び戻された患者さんの急変は
そのお客さんのお父様だったのかも知れません。

手を尽くしても助けられない事が有るのは
人一倍分かっているつもりですが、
どうにかしてその確率を下げることができないのかと
自分たちのやっている仕事のちっぽけさに
情けなさを感じる思いで帰って来ました。。。。









nasubi83 at 11:03|PermalinkComments(4)TrackBack(0)

2010年09月11日

まだまだ熱中症注意ですよ!

台風が猛暑を連れ去ったかと思われたこちらも
その翌日には又猛暑が再来です。

そんな中、搬送が相次いだのがまたしても熱中症の患者さん。

搬送元の現場は違っているのですが、
そのいずれもが建設現場や工事現場などの外仕事の職人さん。
しかも重篤化して搬送される殆どの方が40代以上の患者さんです。

時折10~30代の比較的若い世代の患者さんの搬送もありますが
40代以上の占める割合が可也多くなってきています。
特に60代前後の患者さんは重篤化しているケースが顕著です。

外の現場で働く皆さんの健康管理なども
可也徹底して水分補給や休憩を多めに取られるようにされ
職人さん一人ひとりもマイボトルなどで小まめに水分摂取されて
気をつけてらっしゃったようなのですが、
ここへ来て夏の疲労の蓄積や、収まらない猛暑に耐えられず
仕事中に気分が悪くなって、手足の痺れやボーっとしたりで
チョッと横になったらそのまま意識を失ったという
ケースが多いそうです。

駆けつけた現場責任者と言う方が説明してくださるには
以前に比べて職人さんの高齢化が進んでいるそうで
現場に給水気を設置したり、日中の気温に応じて休憩の回数を
規定以上に増やして身体を休ませるように注意していたのに
体力ではカバー出来ないほどの疲労蓄積などで
9月に入ってから急に熱中症に倒れる作業員の方が増えたそうです。

うちに運ばれるほどではなくても
仕事が終わってから自分でクリニックを訪れて
痺れやめまいなどの症状を訴える職人さんも多かったそうで
現場を預かる管理責任者の方も困惑するほどの
この猛暑の夏です。

間もなく彼岸の声も聞こえますが
「暑さ寒さも彼岸まで」となってくれれば良いのですが
もう暫くは皆さんどうぞこの暑さに負けないよう
健康管理に努めてくださいね!

外仕事される方だけでなく、7月8月の疲労が出る時期です。
夜間の室温設定にもまだ気を配る必要が残っていますよ!









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2010年08月25日

誤解は怖い!

60代男性の搬送。
搬送元はラジオ体操会場になっている公園からのようでした。

救急隊員からの一報では、熱中症症状で意識喪失。
口から泡を吹く状態で倒れてしまったようでした。

本当にこの猛暑の夏は
連日ひっきりなしに熱中症患者さんの搬送があります。
深夜帯でも日勤帯でも、余り時間に関係無しの搬送です。


この患者さんも、倒れてから搬送までが早かった事もあり
処置も直ぐに行われて徐々に回復されました。

既往症などをお聞きしていた際に
それまで毎朝ラジオ体操は欠かさず参加されて
自分では健康に自身があったと話されました。

ただ最近就寝中に尿意を催す頻度が増え
夜お休み前の水分摂取を控えていたそうでした。

そして朝のラジオ体操が済んだら青汁を水筒一本分のんで
帰ってから乾布摩擦をして、お風呂に入ってから
朝食を摂るのが日課だと自慢げに話されたのですが。。。


もうこれだけで熱中症の発症要素はすべて揃う状態なのに
ご本人は「すべて健康にいいから続けている」
そう信じて止まないお話しぶり。。。

小学生の頃(と言うので50年以上前でしょうか?)に
朝は乾布摩擦をすることで健康が身体に入ってくるから
それまでは一切食べ物も飲み物も口にしてはいけないと
何処かで習ったという事を、仕事をリタイアしてから思い出し
ここ数年続けていたそうです。。。
それでも熱中症のニュースを見て、身体に良いと聞いた青汁は
体操後に水分摂取のつもりで飲んでいたそうです。

この夏の夜の暑さは、今までのものとは比べ物になりません。

そして普段でも寝ている間に健康な人はコップ一杯程度の
汗をかいているのですから、この夏はそれ以上の発汗で
体内の水分は渇水状態になっています。
つまり血液がドロドロ状態です。

健康に良いと言うイメージの青汁ですが
これは繊維質が多く含まれるので体内での吸収には
可也の時間を要します。
つまり運動後の水分摂取に全く向かないものなんですよ!

その上、ラジオ体操に乾布摩擦と筋肉を動かし
益々水分が取られ、健康な方でも血流が滞る危険性が増します。
高脂血症などの方は、心筋梗塞や脳梗塞を起こしても
なんの不思議もありません。

この患者さんは幸いにも血栓が詰まる事がなかったので
大事には至りませんでしたが
熱中症で意識を失うほどの状態では
内臓器官へのダメージも心配になります。

誤った健康法など良く耳にしますが
時には直接こうして生命に関る事態を引き起こす事もあります。

しかも今年の残暑は今までの夏と同じと捉えるには
チョッと無理があるほど厳しさを極めています。

暑くてもせいぜい熱中症程度だから心配ないと高を括っても
そのダメージはジワジワと内臓機能を弱めている事もありますので
こまめな水分摂取や、ミネラル補給などもお忘れなく!

朝など身体が水分を即座に必要とする際は
スポーツドリンクなどの機能性飲料が安心かもしれないですね!

発汗で出てしまった水分以上は身体へ補給してあげないと
自分は大丈夫と思っていた患者さんのように
いつ自分の身に降りかかってくるかも分からないのが
この暑さの本当の怖さなのかもしれませんね!

どうぞ皆さんお大事に、この残暑を乗り切ってくださいね!








nasubi83 at 16:23|PermalinkComments(8)TrackBack(0)

2010年08月12日

父さんなんか死んじゃいな!

救急車の扉が開き、ストレッチャーにつかまるように
大きな声で泣き叫びながら高校の制服を着た女の子が
患者さんに同行して来られました。

患者さんは40代男性、同行してきた娘さんと
自宅で親子喧嘩をしている際に意識を失い
けんかの仲裁をしていたお母さんが救急要請。

検査結果から虚血による急性心不全を確認
そのまま初療室にて処置を施し、
数時間後には安定させることが出来ました。


明け方過ぎに面会が可能になったので、
同行のお母さんと娘さんに病状や施術内容などを
お伝えに行ったのですが・・・

娘さんの興奮はまだ収まる事無く
病状説明が終わり、お母さんが面会へ行こうと促しても


「このまま父さんなんか死んじゃいな!帰って来ないでいい」


この位の年齢の子だと、こう言う非日常の場面に直面すると
現実逃避からこう言う発言をすることはよく有ります。

たしなめようと必死のお母さんを横目に
私は少しだけこの娘さんが羨ましく思えました。

今回はチョッとハードな喧嘩になったようだけど
私も父とこう言う喧嘩をしてみたかったなぁと思えて。。。


でも入院は必要ですが大事に至らなかったから
こんな事が言えるのかも知れないですね。

因みに喧嘩の原因は、娘さんの門限破りだそうです。
帰宅時間の遅いのを心配し、気を揉んでいた所に
帰ってきた安心感と同時に言い争いになって
急激な血圧上昇が発症の原因になったのかも知れません。。

皆さんが落ち着いた頃には
双方の気持ちも打ち解けて笑顔の家族に戻れるでしょうね!


せめてこう言う喧嘩が出来るまで生きていて欲しかったなぁ。。
やっぱりチョッと羨ましいかも(^^;)

 

 

 

 

 



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