素敵な出会い

2008年08月03日

病院にお坊さん

病院へ行ったら廊下をお坊さんが歩いていた。。。
その光景はチョッと抵抗あるでしょうか!?

海外の病院では院内に聖堂があったり、チャーチルームがあり
日曜のミサ以外にも、神父さんが病棟へ来てくださり
患者さんの悩みなどを聞いて下さるところは多いですよね!

ですから病院の中を神父さんが歩いていても
誰も不思議には思いません。
けれど、それが日本国内の病院だとまだ患者さんの中には
その光景に違和感を持たれる方も多くいらっしゃると思います。

しかもそれが神父さんで無く、仏教の袈裟を着たお坊さんだと
イメージとして「誰かに御不幸があったのかな?」って
思われることも当たり前のようにあります。


病棟での出来事ですが。。。
自分の病は「末期がんで余命幾ばくも無い」と思い込み
病状説明していたDr,やスタッフの言う事は信じられず
御家族にも「本当のことを話してほしい」と
懇願されてらっしゃる患者さんを担当した友人が話してくれた事です。

患者さん自身は地元の自治体に勤める公務員の方なのですが
代々菩提寺の世話役として活動されていた事もあり
生前に御戒名をつけて貰っているほどの
お寺との繋がりのある方だそうでした。

その方がご自身の余命を知りたいとスタッフに聞いても
誰しもが
「あなたはそんな重病ではないですよ。退院したら又復職できます」
そう御説明しても納得されず、誰か本当の事をと疑心暗鬼になられ
Dr.からはセカンドオピニオンを取る為に他の病院を受診されても
かまわない事や、検査結果を交えカルテを開示し細かく御説明しても
「このカルテや検査結果は他人のものだ!」と信じてもらえません。

次第に精神的負担も大きくなったので、心療内科とも兼科し
メンタルケアを始めたところ、
一番信頼できる人は菩提寺の住職との事。
その方とゆっくり話が出来れば納得できるかもしれないと言う事でした。

実際のこの方の病名は「早期の胃癌」ですが、発見も早く開腹せずに
腹腔鏡と言う器具で、お腹に3箇所程の穴を空けて患部を取り除く
術式を施すために体力的負担も少なく、
しかも事前のPET検査などでも他への転移の可能性も無い状態です。
今のままなら重篤なケースになるものでもなく
このまま治療を続ければ完治も望めるものです。

でも精神的に受入れられない状態では、
例え他の病院でセカンドオピニオンをとっても得られる結果は同じで
益々病院不信・御家族への不信、
そして自己不信にも繋がりかねません。

そうなってからでは現在の病気以上に、心の病も増してしまいます。
治る病気を悪くするだけでなく、最悪の場合は自傷も考えられます。

そこで患者さんの一番信頼のできるお坊さんとの時間を持って頂く様
内科と心療内科のDr.の見解が一致し、お坊さんにも相談の上
一度来院してもらう事になったそうでした。

勿論お坊さんが病状説明するのではないのですが
何故全てを信じられなく(受入れられなく)なったかなど
患者さんの心の中に貯まった物を
吐き出して貰えればとの願いからです。

面談室に患者さん・お坊さん、それにオブザーバーとして
Dr.と友人のNs.が同席し2時間近く話されたそうでした。
そこで気持の整理が出来たようで、
心療内科のDr.も「一つ壁を越えた」と安心されたようでした。

自信のあった体力なのに突然の入院手術などがあると
精神的にもアンバランスになり、こう言った医療者不信を起こす
患者さんは以外にも多くいらっしゃいます。

そのままにしていては治療にも差し障るので、
メンタルケアも含め対処を考えるのですが、
御家族以外に相談したい人、しかもそれがお坊さんとなるのは
かなり稀なケースでした。

この患者さんはその後ベットでゆっくり休まれたそうでしたが
お坊さんを送り出す際にロビーまで案内した友人にお坊さんが・・・
「私は奇異な目で見られてますかね!? 病院には不似合いだからね」と
茶目っ気を出して話されたそうでした。



私が海外の病院でのミサの話や、韓国では数は少ないですが
仏教系のお坊さんが病棟やホスピスで、患者さんの悩み事を聞く事が
既に行われている事を話すと、彼女も今後の課題として
フィードバックするようレポートを上げると話していました。

日本国内でもクリスチャン系の病院やホスピスでは既に行われている
こう言うメンタルケアの一環も、仏教のお坊さんとなると
まだチョッと根づくには時間が必要に感じられますね!

でも必要としている患者さんがいらっしゃるのなら
是非取り入れて行きたい事柄ですね。
これも看護の一環なのですから・・・

勿論違和感を持たれる方の無いような配慮の元でですけれどね。








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2008年07月21日

異国の地で

営業中の大手デパートからの救急搬送。
患者さんは60代男性、胸部痛を訴え心筋梗塞の疑い。

その患者さんは日本観光旅行中のアメリカ人御夫婦の旦那様。
体重が150?を超える巨体の持ち主です!

ストレッチャーから移動させるにも普段3人で十分なのに
今日は6人のスタッフでやっと持ち上げました。

到着時に同行された奥様も日本語が分からず、
救急車内では御主人の容態を案じても、
救急隊員との意思の疎通が上手くいかずチョッとパニック気味でした。

処置室で容態を安定させ、オペの準備に掛かりながら、
奥様に病状説明をし終えた頃、やっと多少安心されて下さいましたが、
これからカテーテルとは言え、オペという事もあって
まだ不安が綺麗に払拭された訳ではなく
今後の成り行きを案じてらっしゃいました。。


ただオペの最中も奥さんが情報を得られる相手が限られるため
Dr.の指示で私が待合室に同席する事になり、
入ってくる情報を奥様にお伝えしていたのですが。。。

先ず奥様の精神的負担を和らげなければなりません。
御主人のオペ過程を説明しながら、今までの既往症やアレルギー
それに食生活の嗜好や喫煙の有無などを伺ってオペ室と情報交換。

奥様も話し相手が出来た事で、アメリカへの連絡をする余裕を持ったり
オペの進行について何度も質問されてこられ
御主人の巨体を嘆いたり、今までも掛かり付け医(ホームDr.)に
何度か動脈硬化を指摘されて注意喚起されていた事など
お話くださいました。

元々いつ梗塞を起こしても不思議ではない状態だったようですが
御本人も奥様もそれ程の危機感は無かったそうで
初めて訪れる日本への旅行を楽しみにしてこられたそうです。


昔、息子さんが日本人留学生の彼女を自宅へ連れて来たことから
日本を好きになり、退職したら御夫婦で旅行しようと決められて
10数年越しの夢を叶えた旅の途中だったとお話下さいました。

そんな日本へ着いて5日目の出来事。
奥様も日本語は出来ず、切符を買うのもガイドブック便りだったとかで
言葉の壁を痛感していた矢先の御主人の発症。

ただ梗塞箇所も状態も不幸中の幸いで
重篤なケースに陥る事無く対処できました。

それでも今日は経過観察の必要もあり、
そのまま入院して頂く事になりました。

異国の地で入院される方も不安でしょうが、
奥様も同じぐらい不安な夜を過ごさなければなりません。
それではお二人を引き離すだけ、不安要素が増すだけです。

奥様も近くに居られた方が安心だろうと思い、主治医に相談し
家族控え室のソファーにブランケットを掛けるだけなってしまうけど、
御主人様の傍にいられるよう許可を貰い、奥様に伺うと
「勿論そこに泊まります、ホテルで一人なんて寝れる訳無い!」と
初めて笑顔になって下さいました。

奥様も一度ホテルへ戻り、必要な荷物を持って再度来院され、
家族控え室で仮眠を取って頂くよう手配して各部署へ引継ぎ。

既にこの頃には御主人も会話が出来るまでに回復して
奥様の手を握られて大粒の涙を流されていらっしゃいました。

他に問題なければ、退院も近い事でしょう。
余り無理は出来ないけど、日本での思い出作りもまだ楽しめそうですよ!


異国の地で言葉も解さず、どれだけ不安だった事でしょう。
奥様のホテルへ戻るルートを御説明し、
ホテル側へ事情を説明し、今夜は宿泊しない旨の連絡を私が代理でして
身の回りの手荷物を取った後の病院への戻り方を
ホテルのフロントの方からご説明願えるよう依頼し病院の地図を送信。


私の勤務終了間際に御挨拶しに行った時
御主人の回復に安堵されたのでしょう、私をギュッと抱きしめて下さり
日本語で「ありがとう」って言っていただきました。

そして先ほど勤務中の友人が
奥さんが無事病院へ戻られた事と、御主人が安定されていること
そして奥様から直接私にもう一度感謝を言いたいとのことで
電話を貰いました。

電話口で今日の出来事を振り返られ、そして涙されていらっしゃいました。
もしかしたら、又少しだけ日本を好きになって下さったかな!?










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2008年07月04日

パテント

職員用の専用駐車場には、車に詳しくない私にもそれと分かる
高級外車が何台か停まっています。

全職員が使う駐車場なので、高級車ばかりではなく
勿論ミニバンから軽自動車までバラエティに富んでいます。

ただ普通はDr.の皆さんが停めるスペースに軽自動車が停まっているので
チョッとその存在が目を引きます。

昨日その話題で盛り上がっていたら、一人の研修医の方が
その車の持ち主についてお茶しながら話してくださいました。

持ち主はチョッと予想外のDr.でした。
このDr.はTVにもよく出演されたり著書も多く、医療界以外の方も
そのお顔を知ってらっしゃる方もいらっしゃるほどの方です。


これまでに何度かオペの新しい手技を発表され、
それに伴う器具もご自身のアイデアで開発されていらっしゃいます。

このDr.が何度かの国際学会出席の際に、その学会で発表された
より安全で患者への負担の少ないオペの手法などを得てくるのですが
手技に伴う新しい器具も同時に発表されていて、
その器具も買い求めて帰り、臨床でもそれらを使ったより安全なオペを
実践されてこられています。

ただその会議の懇親会などでの各国のDr.との会話の中に
大きな医療格差を感じられたのが、このDr.の意思を変えたそうです。


こう言った器具などは基本的に私財で買い求めるのが一般的なのですが
病院や国の支援の下で代表として出席されているDr.からは
オペの新しく安全な手技は理解できたけど
それを持ち帰って臨床で行うにはその器具も当然必要になります。

でもその器具には手技を開発されたDr.や団体が、
当然ながらそのアイデアなどを特許申請して保護しています。
ですからその器具にも特許料が加算されたお値段が付いてるのです。

そうなると一つの器具が日本円で10万以上もするようになるので
それを私財で買え人は、地域にもより限られる事になります。
途上国では器具一つにそれだけの予算を付けられる訳もなく。。。

患者は世界共通でいても、技術は日進月歩で進化したとしても
実際にはそのオペを行う器具を買えずに患者を助けられない現実。

この話を聞いてから、このDr.は自分の開発器具には
パテントをつけないと決められたそうです。

なので開発途上国でもこの器具を原価で買えるようになり
新しい安全なオペの実施が可能になったと言う事でした。

確か前にこのパテントの話は聞いていたのですが
そのDr.がなんと通勤に軽自動車を使っているとは思わなかったので
それについては驚きでした。

まさかこのパテント料が入らないだけで、
生活に響く事も無いだろうと思ってましたから。。。

実はそれにも理由があったのです。
大型車に乗るとCO2をより多く出してしまう。
それが海面上昇などの気候変動を招く。
その被害を真っ先に受けるのが途上国の方たちではないか、と。

そこでは先進国との医療格差が大きく開いている状態は
自分がパテント取らない程度で済む話ではない。。。

と、言う事でエコ通勤のために軽自動車にされたのだそうでした。

人の命を預かる身ですから、
やはりそこまで考えて行動しないといけませんね!

私ももっとエコを考え、実践しなくちゃ!

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2008年04月16日

Time Goes By...

この仕事をしていて辛いのは、搬送されてきた患者さんに
何もして上げられないまま送り出さなければならない事です。

自宅浴室にて意識不明の状態で発見された50代男性。
仕事から先に帰った御主人が一人で入浴されていて意識喪失
外出先から帰った奥さんが発見するまで
どのくらいの時間がたったのか不明のままでした。

救急隊が処置を続けながらの搬送でしたが
到着時の検査で脳内に大量の出血が確認され
既に脳ヘルニアを起こされたいました。
手の施しようがない状態。。。

同行した奥様にその旨御説明し、我を忘れられた奥様に代わり
私が離れて暮らされていると言う息子さんへ連絡しました。
息子さんは仕事で外出中でしたが、その奥様に事情を伝え
お孫さんとともに駆けつけてくださる事に。。

なんとか息子さんやお孫さんたちが来られるまで
持って欲しいのですが、時計の針は止まってくれませんでした。
駆けつけたお嫁さんと小学生になると言うお孫さんを
待っていたかのように、お孫さんの声を聞いて安心されたのか
そのままモニターのラインはフラットに・・・

遅れて駆けつけた息子さんが、涙顔でお母さんを慰め
お孫さんはママの胸に泣き崩れ。。。

それでも私がお身体を綺麗にさせていただく際に
「御一緒にされますか」と声を掛けると、
泣きながらも皆さんでタオルを取り、お父様の身体を拭きつつ
今までの思い出を話しかけられていらっしゃいました。

余りに急なお別れの現実を受入れられるはずもないのに
そのお身体を綺麗にさせていただきながら、
「強い親父だった」 「優しいおじいちゃんだった」etcと
現実を受入れる為、自分たちを納得させるかのように
話しかけられていらっしゃるのを見て医療の無力を感じます。。

過ぎ去った時間をいくら集めても、
元気な姿でそこにいてくれる事に換えられるものでは
決してありませんもの。。。

こう言う悲しい「さよなら」を受入れられたご家族の
メンタルケアも大切な救急看護の仕事です。

でも本当は突然の悲しいお別れを減らすためにも
もっともっと頑張らなきゃいけませんね。




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2008年02月11日

最近抱きついていますか?

60代男性、レストランで食事中に意識混濁に陥り救急搬送。
情報から脳血管疾患が疑われるケースです。

到着後直ぐ検査・処置を施したのですが、
残念ながらこの患者さんが、もう一度ご家族との
楽しい食事をする事をサポートすることは出来ませんでした。

連休にお孫さんを連れて、娘さんご夫婦が遊びに来たので
3世代一緒に近所のファミリーレストランで
楽しい食事をされている最中の悲しい出来事でした。


その現実をお知らせすると、
さっき迄一緒に食事を楽しまれたご家族の方が、
信じられない表情と悲しみのなかで患者さんに会われ
現実を受け止めるための時間を過ごされていました。

奥様の心労を気遣い、ベットサイドでゆっくり出来るよう
椅子をお持ちしたときに、急に奥様が抱き付かれてきました。
その時初めて大きな声で涙されたんです。

娘さんが「看護師さんに抱きついちゃ迷惑だから」と
引き離そうとされたのですが奥様は我を忘れて泣かれています。
私も自分の母親より年上の方でしたが、静かに頭を抱きかかえて
そのまま椅子に腰掛けていただきました。

急に抱きつかれた時は、私もチョッと驚きましたが
突然のご主人とのお別れを迎えられたのですから、
我を忘れるのも無理はありません。
私でよければ、落ち着かれるまで抱きついていてください。
そんな気分でした。

人が急激な悲しみに直面したとき、
なぜか人の温もりを求めたがるものなのでしょう。。。
きっとそれは、一番心が落ち着くからなのでしょうね。

ご主人・奥様・お子さん・お孫さん・彼・彼女etc.
誰が相手という事ではなく、ただ心が安らげる人の温もり・・・。

最近誰かに抱きつきましたか? 誰かに抱きつかれましたか?


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2008年02月09日

どうして。。。

ご主人・奥様・お父さん・お母さん・おじいさん・おばあさん
お子さん・彼・彼女・大切な友達etc...

人との繋がり。


昨夜の勤務の事でした。
搬送されてきたのは20代女性、交通外傷での頭部外傷。
仕事帰りの駅からの通いなれた道。
交通量の多い通りを停車中の車の陰から横断中に
走ってきたバイクに跳ね飛ばされての事故。
全身の擦過傷が、事故の凄まじさを物語っていました。

患者さんは音楽プレーヤーを耳にしていて、
走ってくるバイクの音を確認出来なかったのかも知れません。


頭部ダメージを処置する傍ら失血による諸症状との戦いでした。
若い分体力があるので出来うる処置を試みたのですが
処置中にこと切れて、旅立たれてしまいました。


駆けつけたご家族にお会いする事もできず、
幼馴染だという彼氏も来てくれたのに、
その到着を待つ事無く、一人で逝かれました。


彼氏さんが涙と大声で、昨夜電話で喧嘩した事を嘆き
お母さんが「あんたの好きなカレー作って待ってたのに」と・・

お身体を綺麗にして、頭の傷も目立たないようにさせていただき
血液で汚れた髪の毛も綺麗に拭いて、ご家族にお会いされたとき

おとうさんが
「どうしてもっとお前と話をしてやれなかったかなぁ」と
泣き伏せられました。

この若さです。

どうして喧嘩したまま旅立ってしまったのか。。。
どうして手料理を食べる事が出来なくなったのか。。。
どうしてこれから一杯話す時間を持つはずだったのに。。。
どうしてこんな事になったのか。。。

患者さんは勿論残された人も、沢山の「どうして。。。」を
これからずっと持ち続けなければならないのでしょう。。
使い果たせ無かった時間を振り返りながら・・・。


人との繋がりに悔いのないように生きていたい。
例え明日私が旅立つ事になったとしても、そう生きたい。
何もして上げられなかったと、悔いる事のないように。。。






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2008年02月02日

笑顔は作るものじゃない、頂くもの。。

寒い日が続きますねぇ。。。
寒い朝に多く発症するのが心筋梗塞なのですが
今年もこの症状の患者さんの搬送が増えてきました。

60代男性のDOA搬送です。
救急車内で既に心肺停止、蘇生を続けての到着。
救急車から下ろされたストレッチャーに飛び乗って
心マッサージを引き継ぎました。

患者さんと私を乗せたストレッチャーを
救急隊員とスタッフが押して処置室へ移動、
その間も私は患者さんに馬乗りでマッサージを続けてました。

同行されたご家族も心配顔で、特に30代の娘さんは
私がストレッチャーに飛び乗ってマッサージをしていたので
かなり状況の悪い事を察して顔面蒼白の引きつった表情です。

後ろで「お父さん頑張って」との声が聞こえましたが
スタッフが直ぐにカーテンで遮って処置の開始です。
カテーテルを通すために切開した際血液が飛び
私の白衣を赤く染めました。
勿論その時点でそんな事気にしてられないのですが。。。

危険な状態だったのですが、処置も早く当たれた事などで
何とか安定までもっていく事が出来ました。

先ずはその安心感を伝えるため、Dr.と一緒にご家族へ説明です。
最初に娘さんが私に付いた血痕を見て驚かれましたが
もう会話できる状態だとお伝えすると安心されたのか
私に抱きつかれて、
 「貴女が父に馬乗りになった時はもうダメだと思いました。」
それだけ言うと、後は泣き崩れてしまいましたが。。。

私が 「お父さんにお会いするのに、泣き顔じゃ心配されますよ
    もう大丈夫だから笑顔であってくださいね!」
そう促してカーテンの中へお連れしました。
 
娘さんはまだ泣き顔に無理して微笑を作られていましたが・・・。

それを見ていたDr.が
   「なすび、助けられたから泣くなっていったんだろう!?」

私  「ええ、もう心配ないから、泣き顔じゃ勿体無いですよ。
    それに娘さんが泣いていたら、
    患者さんが悪い方に思われてもいけないでしょう」

Dr. 「でもさ、笑顔は作るもんじゃないだろう。自然と出るさ。
   患者さんを助けられたんだからね。。。
   そして俺達はそんな笑顔を頂けるよう仕事するだけだよ!」


チョッとクサい台詞だったけど、一仕事やり遂げたDr.が言うと
何となく言い当ててるかなって思えるのは何故でしょう!?






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2008年01月13日

素敵なご夫婦でした

昨夜からこちらでは久しぶりの雨が降っていました。。。
暫く暖かかった事を忘れさせられるような冷たい雨です。
そんな雨が上った夜にそのご夫妻の繋りの深さに出会いました。

ホットラインが鳴り響き、可也厳しい患者さんの搬送要請です。
入ってくる情報では、到着まで持ち堪えてくれるか
それが気がかりな状態になるほどで、処置の準備を急ぎました。

80代女性の患者さん。付き添われたのは50代の息子さんでした。
自宅で異変に気づかれた息子さんが救急要請をされ
隊員が到着した際には、微かながら脈が触れたようですが
既に呼吸は停止し、意識もない状態だったようです。

搬送中も蘇生に勤めたようでしたが、車中でその脈も途絶え
残念ながら到着後は処置らしい事も出来ない状態でした。


90代のご主人と二人でこたつに入ってテレビを見てたそうですが、
外出先から戻って来て、異変に気づかれた息子さんが、
隣にいたお父様(ご主人)に声をかけると、
「5分ぐらい前まで話してたけど、寝ちゃったんだよ」と
長年連れ添われたご主人さえ気付かないほど
本当に安らかに召されたそうでした。


遅れて病院に到着したご主人とお孫さん達にもお会いできるように
私がお顔や身体を綺麗にさせて頂いている所へ息子さんが

「おやじは頑固で言葉も汚いから、ここでお袋に会わすと
 大声出して回りに迷惑じゃないか?」と声を掛けて下さいました。

「悲しい時は涙してください。男の方が大声出して泣いて良いのは
  親が死んだときだけと聞いた事がありますけど
  この年齢まで連れ添われた奥様が旅立たれたのですから
  ご主人様が堪えられる方が私たちも悲しくなります」

そうお答えしました。


勿論、処置室のカーテンの中では、隣に別の患者さんがいれば
その方の精神不安にも繋がり治療にも影響しますが
個室でしたし、奥様の姿を確認して頂く方が
ご主人様も現実を受け止められ、落ち着かれる事が多いのです。


息子さんが泣きながら私に、
「親父は普段、少しも優しい言葉を掛けた事ない頑固者だから
  取り乱さなきゃいいけどな」と心配されてましたが

入室されたご主人様が、最初に私のほうを向いて
「本当に死んじゃったのか?」と聞かれました。

私が「奥様は今、人生を全うされたところですよ。
   今日まで頑張られたお顔を見てあげてくださいね」と言うと

静かに横たわる奥様に合掌されて
「さっきまで一緒にTV見てたのに、俺に黙って行きやがって…
 70年も一緒だったなぁ、本当にありがとう!」と
穏やかに、そして一言づつつぶやくように声に出されてました。

この言葉を聞いた時、
「お二人とも素敵な人生を歩まれたんだな…」って感じましたよ。

最後のお別れをする際に、初めて投げかけられたであろう
ご主人からの優しいお言葉。

きっと今までも言葉に出さずとも、
ご夫婦だけには通じ合っていたのでしょうね。

殺伐とした日々の中で、とても素敵だなぁと思ったご夫婦でした。

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2007年11月24日

ファインプレー

県外の2次救急からの受入要請が入りました。
患者さんは30代女性、交通外傷で下肢へのダメージが大きく
そちらの病院で検査の結果、左足膝下からの切断を余儀なくされ
患者さん本人及びご家族へ説明されたそうでした。

本人のショックは大きく、動揺を隠せずに
説明を聞き入れられる状態ではないほどで
運転者でもあったご主人が説明を受け、切断の処置に同意されたそうです。

その時同乗していて、ご本人も怪我をされた小学生のお子さんが
Dr.に「ママの足を切らないで!」って泣いたそうでした。

外傷性ショックも懸念されるので、処置は急がなければいけない
ケースなのですが、お子さんの泣き顔を見たそちらのDr.が思案され
30代という若さ・お子さんの年齢etc.
考え抜かれた挙句にこの症例の専門医の居るうちへ照会(問い合わせ)され
搬送の車中をそのDr.が付き添う状態で転院搬送される事になりました。

こちらも受け入れチームの態勢を整え、送られてくるデータをみて
Dr.やNr.など各担当者でのカンファレンスを行い
出来うるだけの温存処置を念頭に対応しました。

このケースは救急医だけでなく、専門医もチームに入りますので
可也大掛かりな受け入れ態勢でしたが、搬送後の処置が上手くいき
当初の懸念を払拭して、両足とも温存できましたよ。

もちろん今は手術が成功したと言うだけで、
これからのケアにはまだまだ予断を許しませんが
取り敢えず順調に回復すれば、自分の足で歩く日も遠くないと思います。


今回のケースは、搬送時間が長かった事もあって
患者さん本人も、送り出されて付き添われたあちらの病院のDr.も
受け入れ側の私たちも色んな心配の中での処置でした。

一番がんばられた患者さんと「足を切らないで」と懇願してくれた
可愛いお子さんには、心から感謝しています!
後はがんばって回復されるまで私たちがお手伝いしますから・・・。

そしてもう一人今回のGood Job!をされたのは
搬送を決断され、こちらまで同乗されたDr.ですね!

搬送時のリスクを考えれば、自分の病院での手術を敢行されたほうが
もしかしたら患者さんへの負担は少なかったかも知れません。
たとえ切断をしても命は救える確実性を持っていたのですから。。。

とっさに30代の体力を信じ、全身状態や既往症などを確認され
自分のプライドより専門医を探してくださった判断力によって
この患者さんのベストの処置を選択されたのですから・・・。

このDr.のファインプレーを、
後は私たちスタッフが生かさなければいけませんね!

患者さんの一日でも早い回復の助力になるケアをしなければ!!

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2007年11月10日

千歳飴

雨です。。
でもチョッと可愛らしい光景を見ました!

もう七五三なのですね。
本来は15日なのでしょうが、週末に御参りを済ませる方も多いようで
その晴れ着姿を入院中のおじいちゃん・おばあちゃんにでも
見て貰いに来られたのでしょうか?
病院のロビーでも何組かの可愛らしい晴れ着姿の親子連れを目にしました。

ロビーから出て帰途につく姿は、雨が降ってしまって折角の晴れ着も、
逆に歩きずらそうでしたが、男の子も女の子も片手に傘を
そしてもう片方の手には「千歳飴」を握り締めて
お父さんお母さんがその後ろを追いかけるように
ついていらっしゃいました。

そして玄関の内側には、その姿を見送っている
おじいさん・おばあさんの笑顔がこぼれていましたよ^^


一般病棟の中では、入院が長引いてらっしゃる方も多いです。
こんな面会はきっと病棟の廊下にも華やかさを運んでくれたでしょう!

でもICUの患者さんは、面会も制限されてしまいますから
一日も早く回復されるようにお手伝いするだけです。。

そして何気に覗いたロビーの売店に、
今日は「千歳飴」が並んでいました!

病気の関係でみんなが食べられる訳ではないでしょうが
こういった風物詩を感じ取ってもらうには素敵なディスプレイでしたよ^^

千歳飴、最後に食べたのはいつだったかなぁ。。。

at 20:18|PermalinkComments(6)TrackBack(0)
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